一般質問

6月28日(金:第1番目)
午前10時~登壇

岡村精二議員:一般質問全文
(自由民主党)

自由民主党、宇部市選出の岡村精二です。県議会議員として、再度この場に立たせて頂く機会を与えて頂けたことに、心から感謝しています。県勢発展と福祉の向上のための精一杯努力して参りますので、よろしくお願い申し上げます。

さて、私は25年間、学習塾や自然体験活動を通して、子どもたちの教育に携わってきました。子どもが中学生や高校生になると、親子関係で悩み、深刻 な顔をして、相談に来られる保護者の方がいます。最近特に、不登校やいじめの問題、子どもの交友関係で悩んでいる保護者が増えています。

お母さんとの関係がうまくいかなくて悩んでいる中学2年生の女の子の詩に、こんなのがあります。

「明日の朝ごはんは、アサリの味噌汁。母が今朝から泥を吐かせている。きたないものを吐き出すアサリをみると、今の自分を情けなく思う。ねえ母さん、私も一晩水につけると、きれいな心になれるかな」

中学2年生の女の子が、試験勉強をしていたそうです。皆さんも経験がおありかもしれませんが、お母さんが夜食を持ってやってくる。普段、調子のいい ときは「お母さん、ありがとう」と笑顔で言えるのですが、その日に限って「そんなものはいらない」って、つい言ってしまったそうです。それでもお母さんが 「後から食べたら」と言って、お盆を置こうとすると、「目障りだから下げて」と思いもかけないことを言ってしまう。

寂しそうにお盆を下げていくお母さんの後姿を見ながら「かわいげのない娘だ」と思うのだけれど「ごめんなさい」と言う勇気がない。

翌朝、台所に行くと、お母さんが朝ごはん代わりに、自分が食べるはずだった夜食を食べていたそうです。「申し訳ないなあ」と思ってもやはり「ごめんなさい」という勇気がない。

台所の片隅にいくと、バケツが置いてあって、中にアサリが入れてあって、砂出しをしていたそうです。汚いものを吐き出すアサリを見て、「私も一晩くらい水につければ、きれいな心になれるかな」と思ったようです。

素直になりたくても、なかなか素直になれない。それが中学高校生くらいの世代だと思います。ちょっとお互いが素直になれれば、親子関係もうまく行くのにと思います。

核家族化、情報化社会の中で、人間関係が希薄になり、親子や家族、集団の中でのコミュニケーションがうまくできず、苦しんでいる子どもたちが増えています。

教育現場での体験を、これからの議員活動で生かして参りたいと思います。

それでは通告に従い、質問をさせて頂きます。
まず、教育問題。不登校等対策についてお尋ねします。

3年前、青少年の居場所づくりと芸術文化の振興を目的としたNPO法人を設立し、高等学校の卒業資格を、通信教育で取得できる通信制のサポート校を福岡市 と宇部市に開校しました。生徒は新卒、または高校中退や不登校による転入または編入生ですが、中には「ひきこもり」の若者もいます。2年間、生徒たちと接 していく中で、生徒の多くが中学生の頃から、不登校もしくはその傾向が強く、人間関係で苦しんでいたことがわかりました。

今年7月から宇部市と山陽小野田市の教育委員会と連携し、中学生の不登校生徒も受け入れる体制を整え、微力ながら、対応していきたいと考えております。

さて、そこで4点についてお伺いします。
まず、不登校等が原因で高等学校から転入または編入する生徒のことで、在籍していた高等学校に問い合わせると、生徒の中学校での様子や情報が何ら知らされ ておらず、情報が途切れていることから、対応のまずさがあったのではないかと感じることが多く、縦割り行政の弊害を感じました。

中学校と高等学校の間で、不登校生徒に対する連携・意見交換がどの程度なされているのか、その取組みについてお伺いします。

次に「疲労の最大の原因は悩みである」という言葉がありますが、不登校の生徒たちを見ていると、いじめや人間関係、将来の展望など、悩みごとが走馬灯のように巡り、「悩みのために疲れ果てている」ように見受けられます。

「疲れているから学校を休ませなさい」と指導する臨床心理士やフリースクールの先生がいます。しかし一方では「何とか学校に復帰させたい」と願う学 校の先生がいます。両者の考え方の違いで、どう対応すればいいのか、悩んでいる保護者もいるようです。この考え方の相違を、どのように受け止められている のか、お伺いします。

次に中学生の不登校生徒の中には、学校には通えないが、民間のフリースクール等には、何とか通えるという生徒もいます。中学校を卒業するためには、 出席日数の確保が必要だと思われます。附ルースクールの通った場合、出席はどのように取り扱われ、認定されているのか、お伺いします。

次に宇部市の場合、小中学校における不登校生徒は、教育支援センターで対応していますが、高等学校入学後、不登校になった場合、学籍が学校にあるう ちは不登校生徒として、学校が対応してくれますが、中退した時点で、学校による指導支援はなくなり、特に中学校時代から不登校等で、高等学校に行けなかっ た生徒は、中学を卒業した時点で「無職少年」「ニート」「引きこもり」として扱われ、保護者の相談窓口となる部署は市にも県にもありません。唯一あるのは 若者就職支援センターくらいです。

私は不登校をはじめ、ニート、ひきこもり、そして無職少年までを含んだ支援を行う部署等が必要ではないかと考えています。しかしながら、現状では、 学校現場による小中学校、高等学校における不登校対策や高校中途退学対策の充実をもって対応を図るしかありません。そこでお尋ねします。小中学校・高等学 校における不登校や高校中途退学に対して、どのように取り組んでおられるのか、お伺いします。

次に「チャイルドライン」についてお尋ねします。
子どもたちの悩み事の電話相談窓口として民間団体が設置している「チャイルドライン」があります。33都道府県で60団体が取り組んでおり、山口県では 「チャイルドラインやまぐち」が2004年に設立され、今年度から開設場所を2箇所に増やすなど積極的な活動がなされています。こども未来課が子どもたち に配布する電話相談窓口を掲載したカードの表紙にも、チャイルドラインの電話番号が掲載され、たいへん感謝されていました。

さて。県が行っている電話相談が問題解決型なのに対して、チャイルドラインは、子どもの悩みを受け止めることだけに徹し、聞くことによって、元気を与えることが特徴です。

初めて電話をかけてくる子どもが多く、電話をかけるという行為だけでたいへんな勇気が必要なだけに、受止型の電話相談窓口は大切な存在です。中国地 区では鳥取県と島根県は、県がフリーダイヤルや研修費用を負担し、岡山県と広島県は、企業が支援しているとのことです。山口県の場合、電話の設置費用、運 営費など、すべてがボランティアに支えられているのが実情です。フリーダイヤル化への支援、また電話の受け手の研修支援など協力体制が必要だと思われます が、ご所見をお伺いします。

次に、県が行っている電話相談窓口には「親子ほっとライン」「ふれあいテレホン」「子どもいじめ110番」「思春期ほっとダイヤル」「心の健康電話相談」「ヤングテレホン」の6種類あり、電話番号がカードに掲載されています。

それぞれ目的を持って設置されていますが、子どもはどこへ電話すればいいのか、迷ってしまうのではないでしょうか。それぞれの相談窓口について、電 話での対応に関する研修は、どのようになされているのか、また経費を考えれば、窓口を1つに集約したほうがよいのでないかと思われますが、ご所見をお伺い します。

次に体験活動の充実についてお尋ねします。
子どもたちの自然体験や社会参加の不足を補い「生きる力」を育むために、学校週5日制を利用して、地域での体験活動の充実が求められていますが、現実的に は、指導者の高齢化や不足が表面化し、また宿泊や冒険的要素を伴うキャンプなどは、怪我や事故に対する責任問題等から、実施するPTAや子ども会、自治 会、民間団体は減少しており、地域における子どもたちの体験活動に危機感を持っています。地域における体験活動に対する県の取り組みについてお伺いしま す。

また、学校教育においても、宿泊体験学習を実施している小中学校も減少傾向にあると伺っています。青少年施設までのバス料金の補助金カット、また学 校週5日制による授業時間の制約も影響を与えているようです。小中学校における宿泊体験学習の実施率の変化、また学校教育における宿泊体験学習の充実を図 るため取組みについて、お伺いします。

次に岩国市愛宕山開発事業について、私の専門であります防災の観点からお尋ねします。
私は土砂搬出が終わり、一次造成が完了した愛宕山の現地を見させて頂きました。そのときの第一印象は「あれだけの赤字にこれだけの広さ」という実感であり「巨額の赤字を生じる造成地が、市街地の中心に広大な拡がりを持って横たわっている」という印象でした。

昨年11月、検討の結果示された最大で500億円に達すると見込まれるこの事業の赤字については、災害以上の災害とも言うべき、大きな経済変動の結果であることは明らかです。

自然災害はそうは言っても局地的ですが、経済変動は、日本はおろか国際的な拡がりを持って、まじめにやっている人も、そうでない人にも、おしなべて 甚大な被害をもたらします。現地で愛宕山の施工状況を見るにつけ、また計画当初からの事業の経緯を聞くにつけ、この事業に関わった多くの人々は実にまじめ にやってこられたとの意を強くしました。

事ここに至った責任を声高に言われる人がありますが、バブル崩壊という未曾有の災害の後を思えば、個人の責任を追及するのは、それは酷というもので あります。その余裕があれば、この赤字をいかに解消していくかということを最優先の課題として、皆で協力していくことが今一番求められていると痛感しま す。

造成地の自然災害への備えについて言えば、平地の防塵対策、調整池や沈砂池の排水対策、周辺緑地の崖地対策いずれもきちんと対応されている印象を受けましたが、それにしてもこれだけ広大な土地です。

防災対策や維持管理に細心の注意を払われるとともに、一刻も早く転用策を決めて最終的な問題解決を図られる必要があることは言うまでもありません。

そこで、3点についてお伺いします。

まず、梅雨に入り、愛宕山開発用地の防災対策について、どのような体制をとっておられるか。またこれに関する周辺住民への周知はどのようにしておられますか、お伺いします。

次に、転用先が決まるまで、ある程度時間がかかると思われますが、それまでの間、用地の維持管理はどのようにされるのか。またそのためのコストはどの程度になるのか、お伺いします。

最後に、転用策を検討するにも「あれだけの赤字とこれだけの広さ」では、早く抜本的な手を打たないことには、金利や防災面から見て県と市の手に余る 問題です。基地の沖合移設に協力してきたこともあり、ぜひこの用地を国に買い取ってもらうよう交渉し、国から支援を引き出すという形以外に、この難題を解 決する手だてはないと思いますが、ご所見をお伺いします。

次に土木建築行政について、お尋ねします。
土木建設業界は、バブル期における公共事業と民間設備投資等の拡大で肥大化し、バブル以降は長期に及ぶ景気低迷と公共事業に縮小により、未だ厳しい構造不況に陥っており、仕事量の減少は、請負価格の低下、下請け業者への経営圧迫という悪循環になっています。

まず、入札・契約制度の改正について。
本県では従来から公共事業における談合などの不正行為を排除するために、様々な取組みを行っており、これまで以上の透明性、競争性、公正性の確保を図り、 談合が行われにくい環境整備をするため、このたび更なる改正が行われました。しかし、一般競争入札の拡大により、低入札が増加し、品質の低下や下請け業者 への悪影響が懸念されます。県においては、低入札対策に向けた、施策の更なる推進が必要と思われますが、ご所見をお伺いします。

次に、地場産業の育成について。
公共事業は地場産業のない過疎化地域においては、生活の糧となる一つの産業でもあります。今回の改正では、地域要件が拡大され、また一般競争入札の応札可 能者数が原則20者以上とされておりますことから、一層の競争激化が予測されます。過疎地の小さな業者が倒産すれば、過疎化に拍車をかける可能性があるの ではないでしょうか。ご所見をお伺いします。

次に、入札参加資格審査について。
入札参加企業の増加に伴い、公共工事をまったく受注できない業者が増加する可能性があります。しかし、県の工事を受注しなければ、入札ランクが下がるとな れば、さらに厳しい応札をしなければならず、経営体力のない業者にとっては、厳しい選択を迫られます。入札参加資格審査は、こうした実情を踏まえたものに するべきであると考えますが、ご所見をお伺いします。

次に技術職人の後継者育成について
昨年、建設山口や左官業組合、造園組合に所属する職人さんにご協力頂き、小中学生を対象に「子ども匠の学校」を開催しました。「セメントの練り方、壁の塗 り方」「ノコとカナ槌の使い方」「竹垣の作り方」など大人にとっても、興味深い講座で、子どもたちは左官さんや大工さん等の「匠の技」に感動し「将来、大 工さんになりたい」と目を輝かせていました。特に左官さんが、タイルにセメントをのせ、一枚一枚壁に貼る「団子張り」という技術は、最近、目にしなくなっ た日本特有の技だけに、その技術に目を見張っていました。

さて、その技能技術を継承する大工さんや左官さんの後継者が急激に不足し、後継者育成が大きな課題となっています。国家プロジェクト「大工育成塾」など国が主導して行われている事業もありますが、県としての後継者育成に対する取組みについてお伺いします。

次に「県民の健康づくり」についてお尋ねします。
国においては、国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものとするため、医療制度改革を進めています。この改革では、予防の重視が柱のひと つになっており、国民の生活習慣病改善に向けて積極的な取組を進めることとなっています。そうした中、今年4月、政府は、「新健康フロンティア戦略」を策 定し、生活習慣病対策など、国民自らが、それぞれの立場等に応じながら行う、健康づくり対策について取りまとめました。

また、平成20年度からは、生活習慣病の予防、適切な保健指導などを実施するため、40歳から74歳の中高年を対象に保険者による特定健診・特定保 健指導が義務づけられたところであり、内臓脂肪症候群いわゆるメタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導が行われることとなっています。

この特定健診・特定保健指導では、対象者のうち約1,940万人、実に中高年の男性2人に1人、女性5人1人がメタボリックシンドロームの該当者・予備群となるとのことであり、この数字からも、健康づくり対策は、我が国において喫緊の課題です。

一方、本県の生活習慣病による死亡者は、今月発表された平成18年人口動態統計によると、昨年、がんによる県内死亡者は4,678人で人口10万人 当たりの死亡率は全国第5位、心疾患による死亡者は、2,687人で全国第4位、脳血管疾患による死亡者は、2,016人で全国第10位となっています。

世代別にみても、40代からの死因は、がん、心疾患、脳血管疾患が、上位を占めており、家庭や企業に与える影響は大きなものとなっています。

多くの県民が生活習慣病により尊い命を落とされており、本県においても生活習慣病克服に向けた健康づくり対策が急がれています。

また、近年、生活習慣病予備群ともいうべき、肥満傾向児も多くなっており、誠に憂うべき事態ではあり、生活習慣病は、大人のみならず子どもたちにとっても、関わりが深い問題となっています。

次世代を担う子どもたちが、心身ともに健全に成長していくためには、子どもの時期から、食生活の改善やスポーツへの取組みなどによる肥満予防対策が必要となっています。

そこでお尋ねする。生活習慣病を予防するため、健康づくり対策の推進に向けて、どのような視点に立ち、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。

次に、防災対策についてお尋ねします。
わが国は、地理的・地形的に地震、台風、集中豪雨などによる多種に被害を受ける自然災害多発国であり、平成11年の18号台風では、周防灘に面する山口県西部地区では、高潮による大きな被害を受け、その後も岩国市や周南市でも豪雨による大きな被害が発生しています。

県では防波堤の嵩上げ、ポンプ場の新設、災害危険箇所の整備などの対策が進められ、ハザードマップなどソフト面での充実も伺えます。

いつ発生するか、予知できない自然災害に対する備えを充実させることの重要性を感じます。

まず、自主防災組織について。
県内では防災対策についての研修会が実施され、自主防災組織の組織率は57%と伺っています。私の住んでいる宇部市では、小学校単位で24校区のうち12校区で設立され、さらに3校区で設立の動きがあるとのことです。

しかし、過去の被災状況により、防災意識には地域により温度差があり、それぞれの地域に応じた研修内容が必要であります。自主防災組織をより充実さ せ、災害時における迅速な活動を期待し、実効性のある組織にするためには、設立後の意識向上が必要です。県の自主防災組織育成の取組み、とりわけ、設立後 の自主防災組織の継続的な研修支援に対する取組みについてお伺いします。

次に、早期防災学習について。
物理学者であり、夏目漱石の高弟であった寺田寅彦博士が昭和8年、ある雑誌に「世界的に有名な地震国である日本の小学校では、少なくとも毎年1時間や2時 間くらい、地震、津波に関する特別講演があっても不思議ではない」と述べられています。山口大学教授の山本哲郎先生は、昨年11月から県内の小学校約50 校で「防災おじさん」という肩書きで講演をされ、わかりやすく自然災害を説明し、液状化現象の起こるメカニズムなどを実験で教えるなど、大きな成果を挙げ ています。

子どもたちは自然災害の脅威については、テレビなどの映像から断片的ではあっても、災害用語や災害の悲惨さは理解しています。

しかし、地震被害の映像を見ても、地震の規模を示すマグニチュードなどの専門用語は理解しがたいと思われます。事前に学校で学んでいれは、震度6な ら大きな被害が発生する。震度3・4なら、被害はそれほど大きくないと理解でき、報道に対する興味も深まります。自然災害多発国である日本の子どもたちに とっては災害の怖さや対応法について学ぶ、早期災害学習は非常に大切なことです。小中学校における早期災害学習の取組みについてお伺いします。

次に、干拓地における護岸改修事業について。
宇部市の厚南平野は、昭和17年の周防灘台風では、隣接する厚東川河口の護岸が破壊され、全壊543戸、半壊643戸、死者・行方不明者297名という甚大な被害を受けました。被害を大きくした主な原因は台風による高潮です。

戦後、護岸の補強工事やポンプ場が設置され、現在も高潮対策事業や河川改修事業が継続的に行われており、住民の一人として、感謝しております。

しかし、例えば厚東川河口部の一部には、戦後、改修工事が行われていない老朽護岸もあり、住民にとっては、そのことが大きな不安となっています。

宇部市の厚南平野のように、満潮時には住宅地が海面より下になる干拓地は、護岸が破壊されると、ハリケーンによる被害を受けたニューオリンズ同様 に、何日も海水が出入りし、長期に及ぶ避難生活を強いられる大災害となります。河川や海岸の改修事業は多大な費用と長い年月を要することから、高潮ハザー ドマップの作成など、ソフト対策の推進ももちろん必要ですが、厚東川河口の老朽護岸の、今後の改修見通しをお伺いします。

最後に大規模大災害発生時における早期設置型簡易住宅の備蓄について。
平成7年に発生した阪神・淡路大震災では、6千名を超す死者を出す大惨事となり、兵庫県では体育館や公民館、市役所のロビーなど、1153か所の避難所に 約32万人の被災者が収容されました。必要とされた応急仮設住宅は約5万戸でしたが、1か月後に建築された応急仮設住宅は、わずか1250戸に過ぎず、多 くの被災者が衣食住においても、不自由な避難生活を余儀なくされました。市街地では敷地の確保すら難しく、7ヶ月たった8月までに完成した応急仮設住宅は 48300戸でした。

多くの被災者は半年以上もプライバシーもなく、また十分な暖房や入浴施設のない公共施設の床で、寝泊りする生活を強いられ、震災によるストレスと相 まって、心身に大きな負担となりました。特に高齢者の肉体的精神的疲労は大きく、そのために身体に不調をきたし亡くなられた方も多くいます。

狭くても、とりあえず家族のプライバシーを確保できる早期設置型簡易住宅の必要性を感じます。

仮に、県ごとに100戸程度備蓄しておき、災害発生時には、被災地に一斉に搬送設置すれば、1週間以内に4700個、新潟県中越地震程度の災害に十分対応でき、特に冬季積雪時には有効です。

また仮設住宅はその建設戸数の決定に、国土交通省・厚生労働省も苦慮しており、仮設住宅が建設されるまでの補完、また住宅復興を支援するためにも有効と思われます。

早期設置型簡易住宅の備蓄について、県のご所見をお伺いします。

以上で一般質問を終わります。

答弁

1 教育問題について
(
1) 不登校等対策について
ア  中学校と高等学校との連携・意見交換について
中学校と高等学校の不登校等に対する連携・意見交換がどの程度なされているかについて伺う。
(教育長)
教育問題に関する数点のお尋ねにお答えいたします。

まず、不登校等に係る中学校と高校の連携についてであります。

高校に入学してきた生徒がスムーズに学校生活を送ることができますように、すべての高校におきまして、中学校からの継続的な指導を図るために、生徒指導連絡会議を開催するなど、中学校との情報交換を実施しております。特に、不登校の状況等のある生徒につきましては、入学式前の早い時期に、中学校での様子を詳しく聴くなど、情報を共有し、きめ細かな支援に努めているところであります。

イ 不登校に対する考え方の違いについて
不登校への対応について、臨床心理士等と学校の考え方の相違を教育委員会としてどのように受けとめているか。
(教育長)
次に、不登校に対する考え方の違いについてであります。

お示しのありました二つの立場からの発言は、基本的には、いずれも、悩みを抱える子どものことを第一に考えて、その気持ちに寄り添いながらも成長を期待する心情からのものでありまして、いつ登校を促すかについては、一律に判断することは難しいと考えております。

しかしながら、長期的に見ますと、進路選択や社会的自立のためには、不登校という状況が継続すること自体は、望ましいことではないことから、学校におきましては、スクールカウンセラーや保護者等との緊密な連携によりまして、学校復帰を目的として、時機を見て適切な働きかけをしております。

お示しのように登校に対する考え方の相違が見られる場合におきましても、学校側から積極的に呼びかけ、児童生徒一人ひとりの状況に応じた対応等について共通理解を図るなど、適切な支援が必要であると考えております。

ウ 民間施設における出席の取り扱いについて
中学生がフリースクール等に通った場合、出席の取り扱いはどうなっているのか。
(教育長)
次に、フリースクール等民間施設を利用する場合における出席の取扱いについてであります。

これにつきましては、文部科学省が、通知等により要件を定めておりまして、それによりますと、当該施設への通所又は入所が学校への復帰を前提としたものであり、かつ、市町教育委員会との連携・協議の中で、不登校生徒の自立を助ける上で有効・適切であると、校長が判断する場合、指導要録上出席扱いとすることができることになっております。

エ 不登校対策・高校中途退学対策について
小中学校・高等学校における不登校や高校中途退学に対して、どのように取り組んでいるのか伺う。

(教育長)
次に、不登校・中途退学への対応につきましては、その未然防止と早期の適切な対応、児童生徒一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援が重要であります。

このため、未然防止に向けまして、各学校では、キャリア教育や分かる授業の推進、仲間づくりのための学級活動や集団宿泊研修等を実施しております。

また、早期対応等を図るために、学校における相談体制の整備、教職員がチームを編成した取組、スクールカウンセラーのすべての学校に派遣する体制の整備をしたところであります。さらに、ふれあい教育センターにおける学習支援を進めますとともに、県内7か所で巡回地域教育相談を開催することとしております。

県教委といたしましては、今後とも、各学校において、きめ細かな支援の充実を図りますとともに、関係機関と連携しながら、中学校卒業後、進学も就職もしていない生徒、また、高校を中途退学した生徒に対しまして、進路相談や情報提供に、より一層努めるなど、児童生徒の将来の社会的自立に向けた支援を進めてまいります。

(2)「チャイルドライン」等電話相談について
「チャイルドラインやまぐち」は2004年に設立され今年度2箇所に増やすなど積極的に活動している。フリーダイヤル化への支援、電話の受け手の研修支援など協力体制が必要と思われるが、所見を伺う。
県の6種類の電話相談窓口について、電話での対応に関する研修はどのようにされているのか。また、子どもに対する統一的な対応等を考えれば、窓口を1つに集約した方がよいと思うが、所見を伺う。

(健康福祉部長)
まず、「チャイルドライン」等の電話相談についての数点のお尋ねにお答えします。

「チャイルドライン」による電話相談は、子どもの声を率直に聞き、子ども自身による問題解決の手助けをする民間の取組で、県といたしましては、毎年度、PR用の電話相談カードを作成し、県内のすべての児童・生徒に配布するとともに、電話相談員の研修を行うなどの支援を行っているところです。

お尋ねのフリーダイヤル化の支援につきましては、既に行政において様々な電話相談を設置していることなどを考慮する必要がありますことから、今後の研究課題とさせていただきたいと考えております。

次に、県の行う電話相談についてですが、県としては、毎年、担当職員を対象に合同研修会を開催し、電話相談に関する知識や技能の向上に取り組んでいるところです。

また、お示しの集約化につきましては、県の相談窓口は、いじめや虐待、思春期の悩みなど、異なる分野の相談に専門的に対応するため、最も関係の深い機関に設置していることから、集約化には必ずしもなじまないと考えておりますので御提言の趣旨を踏まえ、今後とも、こども未来課に設置している総合案内電話について改めて周知していきたいと思っております。

(3)体験活動の充実について
ア  地域における体験活動について
地域での体験活動の指導者不足が表面化し、また、宿泊や冒険的要素を伴うキャンプ等を実施する団体が減少しており、子ども達の体験活動に危機感を持っている。
地域における体験活動に対する県の取組について伺う。

(教育長)
次に、体験活動の充実について、2点のお尋ねであります。

まず、地域における体験活動についてでありますが、現在、県内では、例えば無人島でのキャンプ、手作り筏による川下りなど、地域の特色を生かした様々な活動が展開されております。一方で、お示しのありましたように、指導者の確保が課題となっております。

このため県教委では、体験活動や野外活動の実践的なノウハウを身に付ける指導者研修会や、父親の体験活動等への参画を促す「おやじの学校」の開催など、地域における指導者の確保と養成に努めております。

県教委としましては、今後とも、市町教委と連携し、本年3月に作成いたしました、効果的な活動プログラムの作成方法や安全面の配慮事項等を掲載いたしましたハンドブックを活用しながら、多様な活動ができますように、地域の指導者の拡大と活動内容の一層の充実に向け、積極的に取り組んでまいります。

イ  学校教育における宿泊体験学習について
小中学校における宿泊体験学習の実施率の変化、また学校教育における宿泊体験学習の充実を図るための取組みについて伺う。
(教育長)
次に、学校教育における宿泊体験学習についてでありますが、小学校の5年生、中学校は1年生を中心として、地域差はありますものの、ほぼすべての学校において体験活動が実施されております。その実施率については、横ばいの状況が続いております。

こうした中、活動の充実を図るために、小学校では、宿泊施設を利用した通学合宿、山間部と海辺の子どもたちが交流する合同宿泊、中学校では、十種ヶ峰野外活動センターの指導により、4泊5日にわたって山中を移動するキャンプ等、特色ある取組も行われてきております。

県教委といたしましては、各学校にこれら新しい宿泊体験学習について情報提供いたしますとともに、今年度、長期の宿泊を通してコミュニケーション能力を育む「仲間と学ぶ宿泊体験推進校」を指定しておりまして、その成果を県内に広めてまいります。さらに、これら指定校の担当者や市町教委の指導主事を集めましてワークショップを開催し、効果的なプログラムを開発する等、宿泊体験学習の充実に努めてまいります。

2 愛宕山地域開発事業について
(1)    防災対策等について

【梅雨に入り、さらに台風シーズンを迎えるが、愛宕山開発用地の防災対策についてどのような体制をとっておられるか。またこれに関する周辺住民への周知はどのようにしておられるか。
転用先が決まるまである程度時間がかかると思われるが、それまでの間、用地の維持管理はどのようにされるのか。またそのためのコストはどの程度になるのか。】

(総務部理事)
愛宕山開発用地の防災対策と維持管理に関するお尋ねにお答えをいたします。

まず、防災対策につきましては、一次造成の最初の段階から、雨水・土砂対策のために調整池や沈砂池、つまり人工の池を数箇所配置いたしました。一方、土砂掘削・搬出後は整地工事や芝の種子の吹きつけによりまして平地や法面の塵を防ぐ、いわゆる防塵対策、それから崩落防止措置を施しますとともに、梅雨、台風、暴風雨、地震等に対しましては、防災・水防計画に基づき、警戒時や緊急時における適切な人員配置や連絡体制を整備し、パトロールを実施するなど万全を期しております。また、梅雨や台風のシーズンには、事前に地元自治会に対し、防災対策についての説明を行いますとともに、その他の場合でも自治会からの申し出に応じて説明を行っているところであります。

次に、転用先が決まるまでの間の用地の維持管理に関するお尋ねですが、用地内及び周辺地の保全管理、それから調整池の保守点検等につきましては、土地の所有者である県住宅供給公社において引き続き行うことにしており、その維持管理コストは、昨年11月に行った試算結果では、人件費を除く直接経費として年間約2千万円を見込んでいます。

(2)転用策について
早く抜本的な手を打たないことには、金利や防災面から見て県と市の手に余る問題である。基地の沖合移設に協力してきたこともあり、ぜひこの用地を国に買い取っ てもらうよう交渉し、国から支援を引き出すという以外に、この難題を解決する手だてはないと思うが、御所見を伺う。
(知事)
愛宕山地域開発事業について、転用策に関するお尋ねにお答えいたします。

先日の岩国市との協議の結果、事業のこれ以上の赤字増大を防ぐ立場から事業を中止し、用地を他の用途に転用することにより、県民・市民の財政負担を回避することについて市と合意をいたしましたが、御指摘のありました市街地中心部における広大な開発用地の防災対策や維持管理の問題は、労力やコストがかかる上に、周辺住民の方々の安全確保や不安解消のためにも、また岩国市のまちづくりの観点からも重大な問題と認識をいたしております。今後、できるだけ早くまとまった形で転用策を見出していく必要があると考えております。

このため、県といたしましては、事業が国家プロジェクトに協力をする形で進められてきた事情も考慮し、何らかの形で国に協力を求めることも視野に入れて、今後、県議会の御意見もお聞きをした上で、転用策についてあらゆる角度から検討していきたいと考えております。

3 土木建築行政について
(
1) 入札・契約制度の改正について
県では従来から公共事業における談合などの不正行為を排除するために、様々な取組みを行っており、これまで以上の透明性、競争性、公正性の確保を図り、談合が行われにくい環境整備をするため、このたび更なる改正が行われたが、一般競争入札の拡大により、低入札が増加し、品質の低下や下請け業者への悪影響が懸念される。県においては、低入札対策に向けた、施策の更なる推進が必要と思われるが、所見を伺う。
(土木建築部長)
土木建築行政に関する4点のお尋ねにお答えします。

まず、入札対策についてです。行き過ぎた価格競争は、公共工事の品質確保に支障を及ぼしかねないだけでなく、下請け業者へのしわ寄せにつながりやすいと考えてます。

このため、低入札が行われた場合には、「低入札価格調査制度実施要領」に基づき、内容を確認するとともに、施工中の検査を強化することにより品質の確保に努めています。

特に、工事の品質の確保の観点から、価格のみではなく技術力も評価して落札者を決定する総合評価方式について、内容の充実を図るとともに、対象件数を拡大することとしています。

なお、工事着手に際しては、元請け業者に対し、下請けに付す金額が100万円以上の工事については、下請負人届の提出を義務づけており、これにより、下請代金や支払条件等について確認の上、不当なしわ寄せが行われないよう必要な措置を講じているところです。

(2)地場産業の育成について
公共事業は地場産業のない過疎地域においては、生活の糧となる一つの産業でもある。今回の改正では、一般競争入札の応札可能者数は原則20者以上とされていることから、一層の競争激化が予測される。過疎地の小さな業者にとっては死活問題であり、地元業者が倒産すれば、過疎化に拍車をかける可能性がある。所見を伺う。
(土木建築部長)
次に、地場産業の育成についてのお尋ねです。

ご案内のように、今回、競争性、透明性をより高めるため一般競争入札の対象額を3千万円以上へと拡大したところです。

この競争性の確保に際しては、地元建設業者の雇用や災害対応など地域経済社会への大きな貢献度などを踏まえ、地域産業の育成に配慮する必要があると認識しています。

このため、応札の対象となるエリアについては、各土木建築事務所管内を基本としたところであり、また、対象額の1千万円以上への拡大についても、その対象が比較的小規模な業者となることから、体制整備に一定の期間を要することなどを考慮し、平成21年度に実施することとしたところです。

また、業者の経営安定につきましても、県中小企業支援センター等による相談や専門家の派遣、さらには、経営や新分野進出等に係る各種支援制度等を紹介するハンドブックの作成、これらを通じ、関係部局が連携し、一層、きめ細やかな支援を行ってまいります。

特に、中小建設業者の受注機会の拡大を図るため、引き続き、可能な限りの分離分割発注に努めてまいります。

(3)入札参加資格審査について
入札参加業者の増加に伴い、公共工事をまったく受注できない業者が増加する可能性がある。しかし、県の工事を受注しなければ入札ランクが下がるとなれば、さらに厳しい応札をしなければならず、経営体力のない業者にとっては、厳しい選択を迫られる。
入札参加資格審査はこうした実情を踏まえたものにするべきであると考えるが、所見を伺う。

(土木建築部長)
次に、入札参加資格審査についてのお尋ねです。

県内建設業者の入札参加資格の審査項目、この一つとして、県発注工事の工事成績があります。近年、公共事業費が減少しており、建設業界からは、お示しのような要望がありましたことも踏まえ、評価をより適切に行うため、平成19・20年度の入札参加資格審査から、これまで申請前2年度において施工した工事を評価の対象としていたものを4年度に拡大したところでございます。

4)技術職人の後継者育成について
昨年、建設山口や左官業組合、造園組合に所属する職人に協力いただき、小中学生を対象に「子ども匠の学校」を開催した。子どもたちは左官や大工など匠の技に感動していた。そのような技能・技術を継承する大工や左官の後継者が急激に不足し、後継者育成が大きな課題となっている。国家プロジェクト「大工育成塾」など国が主導して行われている事業もあるが、県としての取組みについて伺う。

(土木建築部長)
次に、技術職人の後継者育成についてのお尋ねです。

県におきましては、高等産業技術学校に大工、左官等の訓練コースを設け、技能者の育成に努めるとともに、卓越した技能を有する「山口マイスター」等を講師とした技能講習会を開催することなどの取組みを進めております。

また、「やまぐち住宅フェア」の開催を通じ、児童・生徒などが技能に触れる機会を提供し、理解や関心を深める取組みも行っているところです。

さらに、お示しの「大工育成塾」につきましては、塾生募集や塾生の受入先確保等に全面的に協力し、後継者育成の実績も挙げているところであり、引き続き、制度の周知徹底に努めてまいります。

4 県民の健康づくりについて
生活習慣病を予防するため、健康づくり対策の推進に向けて、どのような視点に立ち、どのように取り組んでいかれるのか伺う。
(知事)
次に、県民の健康づくりについてであります。

県民の健康を巡りましては、近年、とりわけ、がん、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病対策が重要となっております。

県といたしましては、県民が、一体となって健康づくりに取り組む行動計画となる「健康やまぐち21計画」に基づき、生活習慣を見直し、疾病を予防する「一次予防」、疾病の早期発見・早期治療を図る「二次予防」などにより、子どもから高齢者までの各ライフステージに応じて、県民の皆様の健康的な生活習慣の確立に取り組んでおります。

こうした中、お示しがありましたように、今般の医療制度改革におきましては、健康長寿を目指して、新たにメタボリックシンドロームの概念を取り入れた生活習慣病対策の一層の強化が求められております。

このため、県といたしましては、高齢化が進展いたしております本県の特性を踏まえ、県民一人ひとりが生涯現役でいきいきと暮らせるよう、その主体的な健康づくりを更に促進していくこととし、壮年期からの生活習慣病予防対策を重点に、地域保健と職域保健の協働による、運動、食生活、たばこ対策などの普及啓発、さらには、医療保険者が行う、ハイリスク群に着目した新たな「特定健診・保健指導」等に取り組みますとともに、「やまぐち健康応援団」等、地域の協力・支援による県民運動を推進をしていくことといたしております。 また、子どもの時期から健康的な生活習慣を実践していくことも重要でありますことから、先に策定をいたしました「やまぐち食育推進計画」に基づき、家庭・学校・地域等と連携した食育の推進に取り組むことといたしております。

今後とも、こうした健康づくり施策を強化をし、地域や県民の健康的な活力に満ちた、「住み良さ日本一の元気県づくり」に取り組んでまいりたいと考えております。

5 防災対策について
(1)自主防災組織について
県内では防災対策についての研修会が実施され、自主防災組織の組織率は57%と伺っている。私の住んでいる宇部市では、小学校単位で24校区のうち12校区で自主防災組織が設立され、さらに3校区で設立の動きがあるとのことである。しかし、過去の被災状況により、防災意識には地域により温度差があり、それぞれの地域に応じた研修内容が必要である。自主防災組織をより充実させ、災害時における迅速な活動を期待し、実効性のある組織にするためには、設立後の意識向上が必要である。県の自主防災組織育成の取組み、とりわけ、設立後の自主防災組織の継続的な研修支援に対する取組みについて伺う。
(総務部長)
自主防災組織についてのお尋ねであります。

自主防災組織は、平常時においては、防災知識の学習、危険箇所の見回りなどの活動を行うとともに、災害発生時には、初期消火や被災者の救出・救護など、初期段階での防災活動を地域ぐるみで行い、被害を最小限に抑える上で、大きな役割が期待されております。

このため、県としては、組織育成について一義的な責任を有する市町の取組みを補完する立場から、市町職員や自主防災組織を対象とする研修を実施するとともに、市町が行う、モデル的な自主防災組織の育成支援をはじめ、先進優良事例などの情報提供や各種イベントなどを通じた県民への防災文化の普及啓発等により、実効性のある自主防災組織づくりの支援に努めてきたところです。

その結果、県内の自主防災組織率は、お示しのとおり、平成18年4月現在、57.6%に達しており、ここ数年、大幅な組織率のアップが見られるところであります。

しかしながら、高齢化や地域コミュニティの機能低下等により、組織の要となる地域のリーダーや、防災マップの作成などの実践的な活動を指導する人材の不足が大きな課題となっており、設立後の継続的な活動が停滞している組織も見受けられます。

このため、県としては、今後とも、市町の取組みを促し、組織率を高めるとともに、設立後の活動がより実効的となるよう、特に、組織のリーダーや指導スタッフを育成するための研修会の開催や、自主防災組織で開催される防災学習会等への講師の派遣などにより、組織を支える人材の育成や地域の実情に応じた組織力の向上を図る取組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。

(2)早期防災学習について
自然災害多発国である日本の子どもたちにとって早期災害学習は大切である。小中学校における早期災害学習の取組について伺う。
(教育長)
最後に、小中学校の早期災害学習についてであります。現在、全ての学校におきまして、各教科等で自然災害の基本的な知識や適切な対応方法を学習するとともに、避難訓練等を通じまして災害の危険や自らの安全を確保する行動を体験的に学ぶなど、防災教育に計画的に取り組んでおります。

また、発展的な学習として、理数大好きモデル地域事業等におきまして、専門家の方を招きまして、地震や火山のしくみを解明するモデル実験などの出前授業も行っております。

県教委といたしましては、このような先進的な取組を各学校に情報提供いたしますとともに、大学、消防本部等の関係機関や市町教委と連携して、外部講師を派遣するなど、児童生徒が災害発生のメカニズムや対応法について意欲的に学習できますように、各学校の取組を積極的に支援してまいります。

(3)干拓地における護岸改修事業について
宇部市の厚南平野は周防灘台風による高潮で甚大な被害を受けた。戦後、高潮対策事業や河川改修事業が継続され感謝しているが、厚東川河口部には戦後全く改修工事が行われていない護岸もあり、住民にとって大きな不安となっている。
満潮時には住宅地が海面より下になる干拓地は、護岸が破壊されると長期に及ぶ避難生活を強いられる。高潮ハザードマップの作成などソフト対策の推進も、もちろん必要であるが、厚東川河口の老朽護岸の今後の改修の見通しを伺う。

(土木建築部長)
最後に、厚東川河口の老朽護岸についてのお尋ねです。

県においては昭和47年から厚東川の高潮対策事業に着手し、これまで防潮堤の必要高が不足する箇所から順次、計画的に整備し、計画延長8000mの内7050mの整備を終えたところでございます。現在は、上流部で琴川橋の架け替えを宇部市と共同で行っているところです。

お示しの右岸河口部については、必要高は有しているものの石積みの老朽化が進んでいることから、今年度から護岸補強工事に着手することとしています。

(4)早期設置型簡易住宅の備蓄について
阪神・淡路大震災では、必要とされた応急仮設住宅が5万戸でしたが、1か月後に建築されたのは1,250戸に過ぎず、多くの被災者が不自由な避難生活を余儀なくされました。早期設置型簡易住宅は、仮設住宅が建設されるまでの補完、また、住宅復興を支援するためにも有効と思われるが、早期設置型簡易住宅の備蓄について、県の所見を伺う。
(健康福祉部長)
次に、簡易住宅の備蓄についてですが、大規模災害による被災者の一時的な生活の安定を図るためには、公営住宅や民間住宅の確保と併せ、早期に応急仮設住宅を建設し、供与することが重要な課題であると考えております。

このため、県におきましては、災害救助法に基づき、被災

者に対し、仮設住宅をできるだけ早く提供できるよう、社団法人プレハブ建築協会と協定を結び、不測の事態に備えますとともに、現在、各市町を通じて、建設候補地の選定を進めているところです。

お示しの簡易住宅の備蓄につきましては、応急仮設住宅が完成するまでの補完策としての新たな提言と受け止めておりますが、補完策といたしましては、公営住宅の一時使用や民間賃貸住宅の借り上げ等の対応も考えられますことから、また、災害救助法上の取扱いや費用対効果等を考慮する必要もありますことから、今後、これについては、考えてまいりたいと思っております。

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