D&G宇部海洋クラブとは

目  的
海洋思想の普及と、青少年の健全育成
事  業
ヨット・カヌー教室、魚釣り大会、港の清掃奉仕、大型ヨットによる長期クルージング

チャレンジ・クルーズにて
設立経緯 
昭和59年1月(財)B&G財団主催の「若人の船」に乗船してシンガポール、バンコクをめぐる11日間の船旅に参加。


30歳の私は最年長で「班長」という役割でしたが、寄港地で突然、講師の一人が下船したため、代わりの講演を務めることになりました。これが好評だったおかげで翌年、今度は講師として「若人の船」に乗船させて頂く機会に恵まれ、ハワイまで往復することになりました。
これが当時、(財)日本船舶振興会の会長をされていた故・笹川良一翁との出会いになりました。
その秋、(財)日本顕彰会から「特別社会貢献者表彰」を受賞しました。
会場となった笹川記念館に行くと貴賓室へ案内されてびっくりしました。一緒に受賞したのは、作家の遠藤周作さん、歌手の村田英雄さん、女優の山田五十鈴さん、エミーカーター(大統領のお嬢さん)、発明家の中松義郎さん、そして私。


平成4年、第1回ジュニア洋上スクールで220名の子供たちを引率して沖縄へ行き、B&G沖縄海洋センターを利用しました。研修用のたくさんのヨットやカヌーをみて「あるところにはあるんだ」とびっくりしました。それまでは、私は4隻の小さな手作りヨットで、塾生を対象にヨット訓練を行っていました。
偶然、職員の皆さんとお話をしていると「海洋クラブを作りませんか。岡村さんなら、個人でも大丈夫かもしれませんよ」と言われ、自宅に戻って数日後、財団からクラブ設立用の書類が一式送られてきて、現実味が出てきました。


現地審査の後、ヨットやカヌーなど30隻が貸与されることが決まりましたが、問題は保管場所でした。幸い、厚東川河口の「竹の子島」に土地を購入していたこともあり、急遽、合宿所を新築することにしました。(当時75歳だった父の、棟梁としての最後の仕事となりました)                                         ハワイで講演中の岡村


15名程度の合宿ができる艇庫が完成しましたが、あまりにも景色がいいので、一部を和室にし「囲炉裏」とベランダまで作りました。
平成4年秋、正式に「宇部海洋クラブ」が設立されました。


竹の子島の海洋研修所
平成16年度(財)B&G財団「広報大賞」受賞
韓国へのチャレンジ・クルーズが、高く評価されました。20年間、青少年活動を行ってきましたが、事業が評価され表彰されたのは初めてです。うれしいですね。

(国弘勤さんと)

活動内容の紹介

チャレンジ・クルーズ

大型ヨット2隻による本格的な7泊8日の海洋研修で、参加対象は小学4年生から高校生、約20名。
大型ヨットを利用した宿泊を含む青少年事業は、全国的にも例がなく、当法人を特長づける企画として、教育界からも大きな注目を集めています。
使用しているヨットは、研修用として購入された『シンシア8世』(全長10.5m・定員12名)と元・石原慎太郎(現:東京都知事)氏所有の『玄洋』(全長15.0m・定員12名)。
指導者はヨットによる単独太平洋横断経験者、元大型船舶の船長、機関長などで構成しています。食事はすべて自炊。寝床は防波堤で、寝袋による「野宿」という生活ですが、子どもたちには最も人気のある事業です。
航海は風任せですが、時には大きなカツオやサワラ、シイラなどが釣れ、水面を飛ぶトビウオをまじかに見ることができ、子どもたちにとっては感動の連続です。ときには、イルカの群れに遭遇することもあります。
毎年の恒例事業として実施しています。

チャレンジ・クルーズ to 萩・見島(7日間)

(上写真左)室津ヨットハーバーにて
(上写真中央)冒険心あふれる海水浴。スタッフも大喜びだがサメが恐い


(上写真左)魚釣りを教える岡村
(上写真中央)今日の昼食はソーメン
(上写真右)食器を並べるのもみんなの仕事


(上写真左)寝床は防波堤
(上写真中央)魚をさばく小学生
(上写真右)ゴミの処理も自分たち

チャレンジ・クルーズ to 長崎(ハウステンボス)・壱岐(8日間)


(上写真左)楽しさ一杯の研修生たち
(上写真中央)航海中はカラオケ 
(上写真右)夕食はみんなで作る


(上写真左)ゴミの分別は地域の規則に合わせる
(上写真中央)寝床はいつも野宿
(上写真右)KRY山口放送のスタッフ

出迎えの保護者たち
航海の様子は、日本テレビの「ズームイン朝」で15分間の特別番組として放映され、その反応の大きさに驚きました。
ビデオ録画映像
DVD・ビデオを希望される方は事務所にお問い合わせ下さい。

チャレンジ・クルーズ to 韓国(釜山・慶尚南道)

日本初の子どもたちを対象とした海外へのヨットクルージング
日韓友好(山口県・慶尚南道)青少年交流事業
青少年を対象とした大型ヨットによる韓国への国際航海を実施しました。軽い気持ちで行った事業ですが、青少年を対象としたヨットによる海外クルージングは、前例がなく、日本初の事業となりました。
事業概要
小中学生と高校生15名を対象とし、大型ヨットによる山口県から韓国の慶尚南道への10泊11日の海洋研修を実施。航海は宇部港を出港し、関門海峡を抜け、対馬の厳原港で出国手続きを行い、3日目の午後、韓国の釜山ヨットハーバーに入港し、韓国には4泊5日滞在し、慶尚南道の昌原市にある道庁を表敬訪問し、副知事と副教育長と面談し、観光と施設見学を行いました。
帰路は同じ航路で帰航しましたが、台風15号のため1日避難を余儀なくされましたが無事、事業を終えることができました。

実施日時
平成16年8月10日~20日(11日間)
事業参加者 小学5年生~高校生15名(公募)

使用ヨット:
「シンシア8」全長10.5m・定員12名、「玄洋」 全長14.6m・定員15名
指導者:岡村精二:ヨットによる太平洋横断を経験
森光誠一:元宇部セメントタンカー機関長
他、B&G財団職員、女性スタッフが乗船。

①スタッフの思い

小学生などの青少年を対象としたヨットによる長期体験航海、しかも国際航海は全国的にも例がなく、安全対策と手続きの煩雑さに苦労しました。
しかし、スタッフ一同の「ぜひ、子どもたちに自然の素晴らしさを肌で感じることができるヨットに乗せてあげたい、水面を飛ぶ飛び魚を見せてやりたい、大きな魚を釣ったという体験をさせたい」という思いで実現しました。

②研修生活

ヨットの操船は全員、初めてだが出航直後から交代で舵を握らせ、関門海峡も研修生だけで通過しました。食事は食材の買い物から調理片付けまで研修生が役割分担しました。宿泊は船内で行う予定でしたが、船内が暑いため、ほとんどの研修生は港の防波堤やヨットのデッキで、寝袋を使って寝ました。台風15号による避難もありましたが、1m近いシイラや40cmのイサキを釣りサザエやアワビを素もぐりで獲った経験は、子どもたちには素晴らしい思い出となりました。

出港直前の子どもたち


(上写真中央)韓国の釜山港港外で
(上写真右)釜山ヨットハーバーに入港する玄洋。きれいな港でした

(上写真左)B&G財団の大島専務理事の出迎えを受けた
(上写真右)笑顔の研修生たち(昌原市にて)


(上写真左下)
帰路、対馬のあそう湾にて


(上写真左)スタッフの山本さん

成果と今後の取り組み

スタッフにとっても、初めての海外航海であり、安全対策と出入国手続きの難しさなど全員、緊張感を持って取り組むことができました。その結果「思いやり」「協調・連帯」の精神、そして「頑張った」という達成感を子どもたちで共有でき、体験教育の素晴らしさを再認識する機会となりました。
今回の事業を通し『海が人の心を、素直に伸びやかに、豊かに育ててくれる』ことを改めて学ぶことができました。