9月17日(金:第2番目)
午前10時~登壇(8644文字)
岡村精二議員:一般質問全文
(自由民主党)
自由民主党の岡村精二です。まず、先般の台風による被害を蒙られた皆さまに、心からお見舞い申し上げます。また、二井知事のおかれましては、3期目のご当選、ご就任を心よりお祝い申し上げます。
さて、私は今年の夏休み、日韓青少年交流事業として、ヨット2隻に子どもたち15名を乗せ、韓国の慶尚南道まで、10泊11日の航海を行いました。青少年を対象とした、ヨットによる海外への航海は、全国で初めての事業だそうですが、海面すれすれに飛んでいく飛び魚や、クジラを見たときの子どもたちの歓声、また1メートルのシイラを釣ったときの目の輝きに、体験教育の大切さを痛感しました。
また、夏休み後半には、4泊5日の「子ども自然体験キャンプ」を大分県九重高原で実施し、忙しい夏でしたが、充実した日々を過ごすことができました。
キャンプでは、毎回「親が子に生き方を教える」をテーマに「ご両親からのお手紙」という研修を行っています。キャンプが始まって3日目、子どもたちが「家に帰りたい」とか「お母さんに会いたい」と思い始める頃に、思いもかけない「ご両親からのお手紙」が子どもたちに届けられます。
手紙には「生まれたときの様子」や「そのときのご両親やご家族の喜び」「名前の由来、期待や願い」が書かれています。3日目の夜、私の講話が終わったあと「今9時、お父様お母様は、テレビも見ないで、君たちのことを心配しているかもしれない。今日は思いもかけず、お父様、お母様から、お手紙が来ている。今から名前を呼ぶから、出て来い」出掛けに、お母さんと喧嘩をして「ぼくには来ていない」と思っている子どもは、名前を呼ばれただけで、大泣きです。
全員に行き渡ると、懐中電灯で、手紙を照らさせます。封筒には「何々様」と書いてあります。「お父様お母様がどのような思いで『様』と書いたかわかるか。今から10分間、何度でも読み直せ」と言って、懐中電灯の明かりで、子どもたちは手紙を読み始めます。
バックからは「シルクロード」の曲が流れてきます。いろいろ試しましたが、雰囲気にぴったり合っています。
10分間、全員大泣きです。最初に泣き始めるのは、いつも中学生、そして小学生高学年、最後に小学1年生が、周りを見ながら「あれ、僕も泣かなきゃ」という感じで、泣き始めます。1年生は字を読むだけで精一杯、感動とまでには行かないようです。
子どもたちは涙の中で「自分にとって親とは、何なのか」「どのような生き方をしなければいけないのか」ということを学びます。
最近の子どもたちは「無感動」と言いますが、決してそのようなことはありません。
子どもたちの感想文には「この手紙は、一生の宝物です。これからは、お父さんお母さんを大切にします」と書いています。感動は一週間でさめてしまいますが、私は人生の折り目、節目だと思っています。
手紙の素晴らしさは「10分間手紙を書けば、10分間相手のことを思っている」ということです。
「思いやり」という言葉がありますが「思いを送る」という意味では、手紙ほど素晴らしいものはありません。
「僕はこんなにも愛されている」「僕を認めてくれる人がいる」ということが伝われば、いじめにくじけない、自殺なんかしない、強い心を持った子どもが育つに違いありません。
青少年や親子、家族に関わる事件が多発しています。親子の絆、家族の絆が問われている時代だと思います。「絆」という言葉が、これから「教育におけるキーワード」になるのではないでしょうか。
前段が長くなりましたが、通告に従い、一般質問を行います。
まず、1.行政改革について質問します。
議会初日、二井知事は「今一度、基本に立ち返り、県政全般を見直す。いわば『県政集中改革期』と位置づけ、新たな視点に立った行財政改革の推進に、全力で取り組む」と発言されました。
また、綿屋副知事も就任に当たり「これからの大きな課題は行財政改革。県職員の意識改革など県庁の大きな流れを作り、何か残しておきたい。職員は自負心と危機感と緊張感を持たなければならない」との決意を記者会見で述べられています。
ともに、県財政については、その厳しさを訴えられましたが、具体的な行政改革については、多くを語られませんでした。
私は行政改革に取り組む知事の姿勢を明確に、県民に示す必要性を強く感じます。行政改革は「今の仕事を半分の職員で行う」くらいの合理化に対する意気込みなくしては、取り組めない大きな課題です。
そこで、3期目を迎えられた知事の行政改革に対する考え方を伺いたい。
機構改革
まず、第一点として、私が県議になって、最初に読んだのが「山口県要覧」という冊子です。これを見て、疑問に感じたことは、職員の役職名です。知事、副知事、部長、部次長までは理解できましたが、理事、審議監、参事、調整監、企画監となると、どんな仕事をする人なのか。待遇はどの程度なのか。一般県民から見て、わからない職名に戸惑いを感じました。
意味不明な役職は、団塊の世代が定年前を迎え「何か役職を与えなければかわいそうだ」という発想で、作られた役職ではないかと勘ぐってしまうのは、私だけではないようです。県民に理解されやすい、機構改革を行うべきだと思いますが、ご所見を伺いたい。
個室のあり方
次に、幹部職員の個室のあり方、また庁舎内の閉鎖性についても、大きな疑問を感じます。
かつて私は、社員6000名のある大手企業と1年間、防災関連の商品開発をさせて頂く機会がありました。東京本社の事務所は、オープンスペース方式で、机は自民党控室のように並べられ、1部屋に100名の社員の方が働いていました。
部長は6名1組で、机が並べられ、その一角に、6名の部長に対して、秘書が1名配置され、仕事の打合せはすべて、小さく仕切られた応接室を使用するシステムになっていました。
本社で個室を持っているのは社長と専務の2名だけであり、千葉県にある1000名規模の工場でも、個室を持っているのは工場長だけでした。
経営姿勢の凄さを感じますが、8年前の話です。現在、株価2000円の優良企業となっています。
山口県庁は如何でしょうか。
議場におられる参与の皆さんは、全員、個室をお持ちです。私が所属している総務企画委員会も17名の幹部職員が、個室を持っています。
本庁舎だけで、64名の幹部職員が個室を持ち、職員の少ない出先機関の所長まで入れると、約200名が個室を所有しているようです。しかも、外郭団体の財団の理事長まで個室を持っています。
知事、副知事、部長には、その必要性も感じます。しかし、幹部職員は本来、職員の先頭に立って、陣頭指揮にあたるべき役職であって、果たして、個室を持つ必要性があるか。また、そのような待遇で、職員の士気は上がるのか。中には直属の部下は、数名という幹部職員も個室を持っています。
他県の県庁では、次長クラスで造り付けの個室を持っている県は少ないようです。また、部長ですら、個室を持っていない県もあります。
幹部職員は、できるだけ広いオープンスペースの事務所で、陣頭指揮が可能な位置に机を置くべきだと思います。
課長クラスには「頑張れば、将来、個室がもらえる」という励みにはなるでしょうが、各部署の狭いスペースを考えると、幹部職員の行政改革に対する意識向上のためにも、安易に個室を持つことには、疑問を感じます。
ご所見を伺いたい。
【知事答弁】
私からは、行政改革についての2点のお尋ねにお答えをいたします。
県の組織・機構につきましては、これまでも、行政改革の一環として、スクラップ&ビルドを基本に、常に簡素で効率的なものになるように努めてきたところでありますが、厳しい行財政環境にある今日、更なる見直しが求められております。
このような中、組織・機構に関して2点の具体的なお尋ねがありましたが、まず、職名等につきましては、平成14年度に班制を導入をし、本庁の「組織のフラット化」を図る中で、職の内容が重複しておりました部次長、参事の職を整理をいたしまして、部長を補佐し部を総括する職を部次長に、また、部の特命課題に当たる職を審議監に整理するなど、職務・職責に応じた職制となるように、適宜、見直しを行ってまいりました。
県民ニーズが多様化し、時代が大きく変化いたしております中で、私は、今後とも、簡素で効率的な組織、職制になるように、県民への分かりやすさも念頭に置きながら、その点検・見直しに努めてまいります。
次に、幹部職員の個室についてでありますが、現在、お示しがありましたように、本庁では審議監以上、出先機関では所長等の職員は、個室を持ち、職務に当たっております。
このことは、業務の執行や来客への対応等に一定の役割を果たしているものと考えておりますが、一方で、お示しがありましたように、県庁舎の有効活用やコストの削減、あるいは開かれた県政の推進などの要請にも応えていく必要があります。
したがいまして、幹部職員の執務室の取扱いにつきましては、御提言の趣旨も踏まえて、今後、組織、職制の在り方を点検する中で、具体的な業務執行への影響等を勘案をしながら検討していきたいと考えております。
私は、今後4年間を「県政集中改革期」と位置付け、組織・機構をはじめ、県政運営全般にわたりまして点検・見直しを行いながら、行政改革の推進に全力で取り組んでまいります。
親しみやすい事務所の環境整備
次に、県民が親しみやすい事務所の環境整備として、また、通路から各事務所内が見えるようにドアと壁をガラス張りにする必要性を感じます。事務室のドアをあけた瞬間の、職員から感じる「何をしにきたのか」という目線は、来庁した県民に、威圧感を与えているようです。
本庁の建物は、㈱日建設計特有の柱と梁だけで、構造的強度を確保しているラーメン構造です。仮に、すべての間仕切りをはずしても、強度上なんら問題はありません。
県民が親しみやすい事務所の環境整備についてのご所見を伺います。
民間企業が生き残りをかけて、合理化、省力化に取り組み、市町村も合併で行財政改革を、必死で押し進めている時代。
こうした中で、それを期待している山口県庁や出先機関はどうなのか。
行政改革の一環として、スピード感にあふれ、気力の充実した庁舎の雰囲気作り、さらなる合理化を進めるためにも、まず、幹部職員である皆さん自身の処遇からと思います。厳しいことを申し上げましたが、こうした点を考慮いただき、ご答弁をお願いしたい。
【総務部長答弁】
行政改革についてのお尋ねのうち、県民が親しみやすい事務室の環境整備についてであります。
ご案内のように、今後の県づくりに当たっては、県民の皆様との協働やパートナーシップが重要でありますことから、これまで以上に、県民の皆様に開かれた、親しみやすいものにしていくことが求められています。
このため、県では、これまでも県民の皆様と関わりの深い出先機関については、カウンター方式を取り入れるとともに、本年10月に竣工いたします新しい周南総合庁舎については、執務室のオープン化を図っております。
また、県庁舎につきましては、昨年5月から、モデル的に執務状況が見えるようにドアへの窓ガラスの設置を進め、現在では26の課・室で実施する等、様々な改善に努めてきたところであります。
県といたしましては、今後とも、各部署の業務の実態を踏まえながら、ご提言のありました、ドアや壁のガラス化も含め、さらなる改善方策を検討し、親しみやすい庁舎づくりに努めていきたいと考えております。
次に、2.土木建築行政について質問します。
入札・契約制度
地元からも、下水道や道路の整備に対する要望は多く、社会資本の整備は極めて大切であり、インフラ整備なくして、国際競争力があるはずもありません。
社会資本の整備は、建設業がそれを受けて、お金を物に変えて、初めて人の役に立つものですが、近年「公共事業はいらない。税金の無駄遣いだ。その公共事業に従事する建設業は、わが国にとって不要な産業だ」という世論があり、政治も行政も、その方向へ流れていくようになりました。談合による不祥事、ダム建設に対する住民運動なども、世論に大きな影響を与えています。
私も建築設計事務所を開設していますが、建設業に携わる者は、肩身の狭い思いをしています。
また公共事業の重要性を一番感じ、日々現場で、建設行政に携わっている県や市町村の担当者ですら、建設業者を大切な仕事のパートナーと思わなくなり、担当窓口に行っても「談合に関わっているような印象を与えてはいけない」という指示があるのか、接触を極端に嫌う傾向が顕著になり、冷たい対応をしているように感じます。
不景気による仕事量の低下と、公共事業の減少は、建設業の低迷、さらには技術力の低下、後継者の育成にも大きな影響を与えています。その背景には、入札契約制度による混乱があります。
入札契約制度改革が叫ばれていますが、一番大切なことは、社会資本の整備を行うために契約するのだから、建設業がいい仕事ができる、状況を作り出すことであり、契約する側である県は、そのことを、はっきりさせておかなければいけないと思います。
「公共事業は、とにかく安くできた方がいい」そこしか見ない市長や町長も多いようですが、あまりにも低価格で受注されれば、良いものは期待できません。
発注者である県には、そのことをしっかり認識して頂きたいと思いますが、今後の入札契約制度に対する、県の考え方を伺いたい。
【建設土木部長答弁】
公共工事の入札・契約制度についてのお尋ねにお答えします。
県としましては、公共工事における著しい低価格による受注は、手抜き工事による公共工事の品質確保に支障を及ぼしかねないだけでなく、下請業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化等につながりやすく、建設業の健全な発展を阻害する恐れがあると考えています。
このため、予定価格が500万円をこえる工事を対象に「低入札価格調査制度」を導入し、入札価格が、基準を下回ったときは、落札者の決定を保留し、その入札価格で設計の内容に適合した工事の履行が確保されるか否かを、詳細に調査しているところであり、昨年度、土木建築部においては、調査対象60件のうち、21件について、適正な履行ができないと判断して、不落札としたところであります。
さらに、調査の結果、落札とした工事につきましても、契約内容に沿った適切な工事が施工されるよう、現場パトロールの強化による施工体制の点検、下請業者への支払確認、中間検査等の強化など、工事監督業務や検査業務の強化を図っているところであります。
県といたしましては、今後とも、良質な社会資本の整備を進めるため、低入札価格調査制度をはじめとする入札・契約制度の適正な運用に一層努めてまいります。
次に、住宅政策について2点質問します。
(a)中古住宅の流通の促進
現在、日本の住宅戸数は、平成15年の住宅・土地統計調査によると5387万戸。
世帯数は4684万世帯であり、空き家は660万戸で、その数は東京都の全世帯数を超えており、全体の約12.2%に達しています。
すなわち、東京都の人口を収容できる空き家があるわけですが、その内訳は賃貸・売却用60%、別荘など8%、居住者長期不在が32%となっています。
特に最近は、住宅団地の空き家が急増しているようです。
日本とアメリカの人口千人あたりの住宅着工戸数と中古住宅流通量を比較すると、新築着工数は、日本が9であるのに対して、アメリカは6。
特に中古流通は、日本が1であるのに対して、アメリカは18となっています。中古住宅の流通は、アメリカが日本の18倍です。
行政も最近は、中古住宅の流通に力を入れ始めたようですが、日本の中古住宅の流通は、この20年間、ほとんど変化していません。原因は「中古住宅より新築に住みたい」という日本人特有の考え方。また、人生80年の高齢化社会という時代に、住宅の耐用年数が20年から30年という短さにも原因があると思われます。産業廃棄物の約20%が建設業からの排出であり、その最終処分場の確保も大きな環境問題となっています。
耐用年数の長い住宅建築の普及も大切ですが、中古住宅の流通を促進する取り組みを検討されては如何かと考えますが、ご所見を伺いたい。
【建築土木部長答弁】
中古住宅の流通の促進についてお答えします。
県におきましては、産業廃棄物の排出量を抑制し、環境負荷の低減を図るためにも、また中古住宅の有効活用を図る観点からも、中古住宅の流通は意義あるものと考えております。
しかしながら、中古住宅は、新築住宅に比べ、質や性能に関する情報が乏しいことから、住宅の安全性や耐久性に対して不安があること、さらには、適正な価格がわかりにくいことなどの理由から、全国的にも流通が進んでいない状況にあります。
このため、御提言のありました中古住宅の流通の促進を図るためには、県としては、まず、情報不足による購入希望者の中古住宅に対する不安を解消することが必要であり、今後、中古住宅に関する適正な情報を県民の皆様方に提供していくことが、重要と考えております。
この観点から、中古住宅の質や性能が容易にわかる「中古住宅性能表示制度」、中古住宅の購入後の不具合を保証する「中古住宅保証制度」、中古住宅の取引価格の根拠を明らかにする「価格査定マニュアル」等の情報を、今後は、住情報発信基地である「きらめき住まいづくりセンター」やホームページなどを活用し、県民の皆様方に対して提供してまいります。
(b)宅地購入者のための、自然災害情報の提供
現在、私は山口大学工学部で、防災について勉強させて頂いていますが、県内における過去の台風や水害、また炭鉱による地盤陥没などの災害事例を調べ、現地を視察すると、何ら災害対策をされていない地域に、宅地が造成され、建売住宅などが販売されているのを、見かけることがあります。
住宅を購入した人は、住宅や宅地の選択に当たって、生活の利便性や景観、価格ばかりを考慮し「自然災害の情報を調べることの重要性」を知らないまま、過去の災害事例を聞かされることも、また自ら調べることもなく、購入したと思わざるを得ません。
自然災害が多発する時代を迎え、住宅の被害を最小限に留める最大の方法は「可能な限り、災害の少ない場所に、災害に強い住宅を建築する」ことです。
津波、洪水、高潮、暴風そして火山の噴火等、地形に影響される自然災害は、過去の災害の調査・研究により、理論的に把握が可能です。購入者も地震や豪雨による災害を低減するには、災害に強い地形・地盤を選ぶことが大切です。
しかし、これから宅地を購入しようとする人への情報は、非常に乏しく、自然災害情報の提供と、情報取得の重要性を啓発していくことの必要性を強く感じます。
県におかれましては、今後どのように取り組んでいかれるのか、ご所見を伺いたい。
【建築土木部長答弁】
宅地購入者のための自然災害情報の提供についてお答えします。
県としましては、宅地建物は、県民の皆様にとって貴重な財産であるのみでなく生活の基盤であり、災害の未然防止という観点からも、お示しのとおり、宅地購入者があらかじめ自然災害に関する情報を入手することは重要であると考えております。
このため、従前から宅地建物取引業者に対して、宅地建物を取引する際には、法に基づき、急傾斜地で崩壊する恐れがある災害危険区域等については建築制限があるなどについて、購入者に対し十分説明するよう指導してきたところです。
また、県においては、防災対策の一環として、急傾斜地崩壊危険区域や地すべり防止区域など、土砂災害が発生する恐れのある場所等を記した「危険箇所マップ」を公表しているほか、市町村においては、主要河川等の洪水浸水想定区域等を示した「洪水ハザードマップ」を公表し、それぞれ県民の皆様に周知を図っているところであります。
今後、これらの情報が宅地購入者に有効活用されるよう「危険箇所マップ」等の情報の入手方法などを掲載したリーフレットを作成し、市町村や土木建築事務所の窓口に備え付けるなどして、啓発に努めるとともに、宅地建物取引業者に対しましても、引き続き適切な指導に努めてまいります。
次に、4.防災について質問します。
山口県防災センターの設置
阪神・淡路大震災以来、防災への関心が高まり、各市町村の地域ごとに、自主防災組織が立ち上げられるようになりました。
また、近年、異常気象による自然災害が多発するようになり、今年だけで、7回の台風が日本に上陸し、山口県も台風16号、18号により、大きな被害を受けました。山口県に特に関係のある災害として、高潮、暴風、豪雨そして地震などが挙げられます。地震については、県内の活断層として菊川断層と岩国断層帯が有名ですが「山口県はある程度安心」という印象があります。
しかし最近、徳地町の大原湖から、山口市を通り、小郡町、そして阿知須町から宇部市に向かう断層が、活断層かどうかという調査も行われています。
災害については、事前の予備知識が、あるとないとでは、過去の災害の事例をみても、人的被害に大きな差があります。静岡県には防災センターがあり、地震と津波の凄さを体感できる施設となっています。しかし、全国的にも、台風などの暴風と高潮の凄さを体感できるような施設はないようです。
県民への防災意識の啓発と、災害に対する予備知識を学ぶ施設として、防災センターの設置を検討されてはいかがでしょうか。ご所見を伺いたい。
高潮情報について
このたびの台風18号は、小潮ということもあり、山口県内では、高潮による被害は少なかったようです。天気予報では「何々の恐れがあります。気をつけて下さい」という言葉ばかりが聞こえ、気象庁も、それ以外の言葉で、具体的に、注意を喚起できないのだろうかと感じます。
今年の2月議会で、高潮情報について「下関地方気象台では、宇部港など潮位が常時観測されている4つの港湾において、その地域で良く知られている岸壁を例に高潮の高さを具体的に表現するよう検討が進められており、本年7月以降、順次実施される予定であります」との回答を頂いておりますが、このたびの台風16号、18号で具体的にどのような表現で、高潮情報がなされたのか伺いたい。
【綜合政策局長答弁】
防災について、2点のお尋ねであります。
まず、防災センターの設置についてであります。
お示しのように、地震や台風などの自然災害による被害を最小限にとどめるためには、平素から県民の皆様に防災意識を高めていただくことが重要であると考えております。
このため、県では、総合防災訓練の実施や、自主防災組織の育成、リーダー研修会の開催や台風シーズンなどに、新聞・テレビ等を活用した普及啓発に努めているところであります。
また、学ぶ施設として、地震や煙などの体験学習ができます県少年消防クラブ会館や光消防本部の体験型防災センターがありますが、更に本年2月から、消防庁によりまして、インターネットで学べる「e-カレッジ」の運用が開始されており、こうした施設やソフトの利活用によりましても、防災意識の向上に努めることといたしております。
お尋ねの防災センターにつきましては、こうした県民の皆様への意識啓発の観点から有効な方法の一つと考えられます
が、多額の建設費や維持経費等、多くの困難な課題がございますことから、今後の研究課題とさせていただきたいと思っております。
次に、高潮情報の改善についてであります。
お示しのように、県民の皆様に分かりやすい高潮情報を提供いたしますため、下関地方気象台と協議を重ねてきた結果、潮位が常時観測されております4港のうち、宇部港、徳山港については6月から実施をされております。
お尋ねの台風16号・18号の接近時におきましては、宇部港では「中央埠頭岸壁」とほぼ同じ高さ、或いはそれを超える高さ、徳山港では「フェリーターミナル前岸壁」とほぼ同じ高さ、との表現で高潮情報が発表されております。
県としては、残る2港につきましても実施に向けた検討を行いますとともに、これ以外の港湾についても同様の取扱いができるよう下関地方気象台と具体的な協議を進めているところでございます。
次に、5.教育問題について質問します。
男女混合名簿
山口県では昨年6月議会で、知事は、男女共同参画社会の実現について「男らしさ女らしさというものを否定するものではない」と答弁され、今年の2月議会で、教育長は「今後、ジェンダー・フリーという言葉は、誤解を招くおそれがあることから使用しない」という答弁を行っています。
新聞報道によると、ともに全国で「初めての発言」とだそうで、執行部の英断に敬意を表します。
さて、先般、東京都教育委員会も、男女の性差までも否定する過激な男女平等教育の背景となっているとして、『ジェンダー・フリー』という用語の扱いについて指導するとともに、誤ったジェンダー・フリー思想に基づいた男女混合名簿の作成も、禁止する方針を決めました。
山口県男女共同参画基本計画である「きらめき山口ハーモニープラン」を見ますと、平成17年度までに、男女混合名簿の採用率を百%にすることを目標としていますが、果たして、男女共同参画社会の実現のために「男女混合名簿」の作成が、必要なのでしょうか。
男女別名簿の使用によって、男女を区別することが、差別につながるとは、私には思えません。
現場の教師は、男女混合名簿と男女別名簿を、場面に応じて使い分けしなければならず、扱いについて「煩わしい」との声は聞いても、その効果について、ほとんど聞いたことがありません。
「男性は男性であることの性的な自覚」「女性は女性であることの性的な自覚」は区別されることによって、育まれていくものだと思います。
先日、横浜のある企業の研修会に、講師として招かれる機会がありました。
20歳前後の若い社員ばかりだったので「高校時代、体育の授業のとき、更衣室が男女一緒だった人は、手を挙げて」という質問をすると、ほとんど全員が手を挙げました。新聞報道で気になっていたので、あえて聞いてみましたが、男女が同じ部屋で着替えることに対する、羞恥心の欠如こそが、大きな問題だと思います。
性差否定というジェンダー・フリー思想に基づいた男女混合名簿の影響は、子どもたちの性的意識、そして性的モラルの低下に、大きな影響を与えていると思わざるを得ません。
男女混合名簿の廃止を求めたいが、教育長のご所見を伺いたい。
【教育長答弁】
男女混合名簿についてお答えいたします。
本県では、男女共同参画の理念に基づき、児童生徒一人ひとりが、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することのできる教育の充実に努めているところでありまして、その取組みの一つとして、男女混合名簿の導入を進めております。
男女混合名簿は、出席簿において導入を進めているものであり、導入した学校においても、身体計測など、配慮を必要とする場合には、男女別の名簿を使用しております。
県教委といたしましては、今後とも、学校が男女混合名簿を導入する場合には、保護者、地域社会等の十分な理解を得ながら、これを進めるよう、努めてまいりたいと考えております。
【青少年教育施設】
「生きる力を育む教育」の一環として、体験教育の充実が、大きな課題となっており、県内の「青年の家」や「少年自然の家」では、毎月土日に多くの企画が組まれています。
しかし、参加者は固定化し、各施設の利用者も継続的な減少傾向にあるようです。
利用者の減少の影響で、施設の再編成として、秋吉台青少年宿泊訓練所が廃止される方向で検討され、秋芳町は解体の同意をされたようです。
秋吉台青少年宿泊訓練所は、長年多くの青少年指導者の育成に使われた施設であり、山口県キャンプ協会やレクリエーション協会にとっては、ゆかりのある建物だけに、その存続を求める声が多く寄せられています。私もキャンプやレクリエーション活動に長年、携わってきた者として、非常に残念なことだと受け止めています。
利用者の減少は、少子化が大きな原因ではありますが、学校での宿泊訓練が、移動のためのバス代金に対する支援の削除などで、実施されなくなったことも、大きな要因と思われます。
今後、利用者が減少傾向にある各施設に対して、指導者の育成、学校への宿泊研修実施の働きかけなど、どのような対策を検討されているのか、伺いたい。
【教育長答弁】
青少年教育施設についてのお尋ねであります。
お示しのありましたように、青少年教育施設での体験活動等は、児童生徒の「生きる力を育む教育」の一環として、極めて重要であると考えております。
各施設では、自然豊かな立地条件を活かし、カッター訓練や天体観測などの特色ある体験活動プログラムを提供して、児童生徒を受け入れますとともに、独自の企画として、週末を中心に、カヌー、ハイキング、陶芸など、多様な事業を展開し、子どもや家族の方々の参加をいただいております。 国内最大級のチャレンジ冒険施設を整備いたしますとともに、5つの施設においては、子どもたちが5日間程度、施設に宿泊しながら学校に通う「通学合宿」の新たな取組みも始めております。
お示しのありましたように、最近の利用状況は児童生徒の減少に伴い減ってきておりますが、利用者のニーズの多様化等に対応した体験プログラムの開発などに取り組むことが必要であると考えております。
このため、まず、施設職員の専門的資質の向上を図るため、野外活動技術講習など、職員研修を充実させるとともに、体験活動等の実施にあたり、多様な分野の指導者を確保するため、地域の人材の有効活用にも一層取り組んでまいります。
また、施設がその専門性を活かして、学校や利用団体等からの体験活動に関する相談に応じるため、相談機能の強化も図ってまいります。
さらに、利用者に対し、一層の情報提供を図るため、各施設の詳しい体験プログラムを一覧できるWebサイトを開設してまいりたいと考えております。
県教委といたしましては、今後とも、各施設における体験活動の充実を図るとともに、学校や地域への働きかけを積極的に行ない、多くの児童生徒が施設を活用した多様な体験活動が行えるよう取り組んでまいります。
学校週五日制
完全学校週5日制により、学習内容を3割も削減した、新学習指導要領に基づく授業が実施されるようになりました。
保護者の間からは、学力の低下を懸念する声が多く出ているようです。
私の塾の先生たちに意見を聞くと、授業のたびに「まだ、習っていない」「そこまで勉強しなくてもいいと先生が言った」などと、勉強意欲の低下を強く感じています。学習意欲を育むどころか、ますます勉強しない子どもが、増えているのが現実です。
危機感を感じた、一部の私立の中学校や高校では、土曜日の授業を再開し、補習を行うようになり、公立高校では不足する授業数を2学期制で、カバーしようとしているところもあるようですが、とても有名私立高校には授業数で勝てません。
文部科学省は、有名私立の学校にも、学校週5日制の実施を促してきたようですが、学力低下を懸念する声が高まるにつれ「私学には建学の精神があるので、一律に縛ることはできない」と歯切れが悪くなっており、6日制に戻す学校を容認しています。公立高校でも、独自の判断で、土曜日の補習に踏み切るケースも現れているようです。
また、学校の先生たちからは、学校週5日制になって以来、授業終了後に、ゆとりの時間がなくなり、また小さな子どもを持つ先生は、早々と帰宅してしまうため、「先生同士のコミュニケーションの時間がなくなった」という声を聞きます。
学校6日制の頃は、土曜日には授業終了後、先生同士で一緒に食事をし、PTAや子ども会との打ち合わせもできたが、それもできなくなり、また先生同士のコミュニケーションの不足から、クラス内での問題や悩みを一人で抱えてしまう先生も、増えているようです。
小学校の暴力行為、いじめが全国で一気に増加したのは、先生が生徒一人ひとりと、向き合う余裕がなくなったことも原因の一つだと思います。
私的な意見ですが、山口県は独自に、教育特区として学校週6日制に戻し、土曜日に出勤した時間だけ、夏休みにまとめて、長期休暇を先生に与えてはどうでしょうか。
「山口県は日本一の教育県であるべきだ」と知事も強く願っておられるようですが、学力の向上をはじめ、学校週5日制に対する課題や問題点の解消に向けて、土曜日の活用を含め、どのように対応されるのか、ご所見を伺いたい。
【教育長答弁】
学校週5日制についてお答えします。
本県で行いましたアンケート調査によりますと、学校週5日制につきましては、児童生徒や保護者の理解が進んできております。反面、学力低下や土曜・日曜日の子どもの過ごし方を懸念する声もあります。
このため、小・中・高等学校におきましては、学校行事の見直しや精選などによる授業時数の確保や、少人数指導や補充的・発展的な学習等に取り組むことによりまして、学力の向上を図っているところであります。
平成14年度に実施いたしました山口県独自の小・中学校の学力調査では、学力につきまして「おおむね良好」という結果を得ておりますが、今後とも、計画的に学力を把握し、各学校において、その状況を踏まえた学力の向上に努めることとしております。
また、高等学校におきましては、土曜日に教室や図書館を開放した自学自習の支援、長期休業中を活用しての学習合宿など、学力向上に向けた取組みも進めているところであります。
さらに、土曜・日曜日の活用につきましては、各地域において様々な体験活動を行う「地域子ども教室」の開催や各種の地域行事が行われておりまして、そのような地域の体験的な活動に参加する子どもたちが増えてきております。
また、学校週5日制の中で、全教職員が互いにコミュニケーションを図るため、各学校では、校内LAN等を活用した情報交換、長期休業中における集中的な課題研修、校長による教職員一人ひとりとの面談など、各学校において取り組んでおります。
県教委といたしましては、今後とも学校週5日制に伴い、懸念されている学力や土曜・日曜日の子どもの過ごし方等につきまして、各学校において家庭や地域社会と連携して、創意工夫をこらしながら取り組んでまいります。