3月8日(第2番目)10:55~11:45
岡村精二議員:一般質問全文
(自由民主党)
自由民主党の岡村精二です。
四月には県庁にも、新入職員が入って来ます。私は新入社員研修に、講師として招かれることがありますが、必ず「最初の給料だけは、長年育てて下さった、ご両親のために使って下さい」と話をします。
すると、新入社員の女性が「ご両親に、夕食をご馳走しよう」とフランス料理の高級レストランを予約しました。
ところが当日、仕事の都合で、少し遅れて、レストランに着くと、お父さんは、顔を見るなり「人を食事に誘っておいて、待たせるとは何事だ」と娘を叱り、その上、食事が始まると「お前なあ、20年間育ててもらった恩を、1回の食事で済ませようと思うなよ」とか、料理を出されるたびに「なぜこんなものを注文したんだ」などと、嫌味を言ったそうです。
そんな時ふと、お父さんの手を見ると、しわだらけの手に、セメントのクズがこびり付いていました。お父さんは、建設会社の現場監督です。
「この手で私を20年間育ててくれたんだなあ」と思ったら、何も言えなくて、今日1日だけは、何を言われても我慢しようと決めました。それでも、お父さんは嫌味を言い続けました。
家に帰って、お風呂に入りながら「お父さんなんか、2度と、食事に誘わない!」と思いました。風呂から上がって、茶の間の前を通りかかると、中から、お母さんとお父さんの会話が聞こえてきました。お母さんが、お父さんに「今日の夕食、おいしかったね」と尋ねると、お父さんが「おれ、人生48四十八年、生きてきたけど、今日くらいうまい晩御飯、食べたことなかったなあ」と答えたとたん、その新入社員の女性は、涙が止まらなくて、フトンに入り、思いっきり泣いたそうです。
県庁の新入職員にも「最初の給料くらいは、ぜひ、ご両親のために!」と指導されて如何でしょうか。
それでは、通告に従い質問をさせて頂きます。
まず、1.教育問題について
最初に、「氾濫する性情報から子どもたちを守る対策」について、提案と質問をいたします。
(a)コンビニや書店に対して、青少年に有害な雑誌に、ビニールカバーをかけさせるための条例制定についての提案です。
コンビニでは、過激なポルノ雑誌やヌード写真が掲載された週刊誌が、子ども向の雑誌と一緒に販売されています。この状況を許し、知る必要のない性情報を、幼い子どもたちに教えてしまう、我々、大人の責任を強く感じます。
日本の航空機には、現在、週刊誌では「新潮」と「文春」しか置いていません。ヌード写真が掲載されている週刊誌は、外国人から批判を受けて、排除されたようです。
海外のコンビニでは、乳房の写っている写真が掲載されている雑誌はすべて、ビニールカバーをして販売されています。外国人の良識を強く感じます。
日本のコンビニや書店はどうでしょうか。過激なポルノ雑誌や週刊誌を、堂々と販売し、ビニールカバーのされている本は、立ち読みをされやすい漫画本や雑誌です。商売上の駆け引きだけで、商品に対する評価をしており外国人が批判するのも、当然だと思います。
店頭に並ぶ、過激なポルノ雑誌や、ヌード写真を掲載した週刊誌は、すべてビニールカバーをさせるための条例を制定して頂きたいと、強く願っています。子どもたちの健全育成のためであり、思想や表現の自由、報道の自由の侵害になるとは思えません。
ぜひ、知事に「日本を正しい方向に走らせる牽引者になって頂きたい」
知事のご意見をお伺いしたい。
次に(b)「氾濫する性情報から、子どもたちを守る全国知事の会」の設立を提案します。
ポルノ雑誌も気になりますが、テレビ番組の低俗化が、もっと気になっています。
夜のニュース番組では、青少年問題などについて、立派な発言や、正義感あふれる発言をしています。
しかし、その直前の番組では、フリーセックスを提唱し、性体験の豊富さを競わせるなど、性を売り物にするような番組、また暴力や犯罪を助長するような番組が放映されています。
報道や表現の自由という理由だけで「視聴率さえ上がれば、何でもあり」というテレビ局の経営姿勢に疑問を感じます。
また、テレビのCMでは連日、消費者金融の宣伝が流され、事件が多発しているにもかかわらず「お金を借りることが、若者の流行である」が如く宣伝しています。それを許している財界にも、疑問を感じます。
テレビ局には、日本の将来を担う青少年に、大きな影響を与えているという社会的責任を感じてほしいものです。
親の教育以上に、大きな情報量と影響を与えるテレビの現状を、知事はどのように受け止められているのでしょうか。
「氾濫する性情報など、メディアから子どもたちを守る全国知事の会」の設立を提案されては如何でしょうか。知事のご意見をお伺いしたい。
県議会議員は「県議会議員の会」を。また経営者は、経営者の会として「青少年に悪影響を与える番組には、CMを出さない」などと宣言をして頂ければと願っています。
【二井知事答弁】
私からは「氾濫する性情報から子どもたちを守る対策」について、2点のお尋ねにお答えをいたします。まず、有害図書類にビニールによる包装を義務づける条例の制定についてのお尋ねであります。
お示しのありましたように、現代の社会には、性的感情等を著しく刺激するおそれのある出版物が氾濫をしており、青少年の健全な育成を阻害することが懸念をされております。
このため、県におきましては、平成14年3月に「山口県青少年健全育成条例」の改正をいたしまして、青少年に有害な図書類の販売等については、他の図書類との区分陳列や容易に監視できる場所への配置等を義務づけたところであります。関係業界に対しましても、書店等への立入調査や情報交換会等を通じて、条例の遵守を指導いたしております。
また、規制の実効性が上がるように、県や市町村、青少年育成団体等で構成する「青少年育成県民会議」が中心となって、地域住民等が一体となって、「読ませない、見せない、売らない」の「三ない運動」を展開いたしております。
このような環境浄化対策につきましては、県民総ぐるみの取組が必要であります。
ご提案のビニールによる包装につきましては、関係機関や有識者で構成する「青少年問題協議会」等の場で、広く意見を伺ってまいりたいと考えております。
次に、テレビによる性情報など、メディアから子どもたちを守ることについてのお尋ねであります。
テレビによる情報は、青少年の知識や理解力を高め、情操を育むなど、有用なものが多い反面、性的な描写や暴力・残虐表現などの映像が、発展途上にある青少年の人格形成に悪影響を及ぼす要因ともなっておりまして、私も憂慮いたしているところであります。
そこで、ご提案の「メディアから子どもたちを守る全国知事の会」の設立についてでありますが、青少年問題は各県共通の課題でありますことから、私としては、全国知事会の枠組みを活用することが適当であると考えております。したがいまして、青少年の健全育成が図られるように、環境浄化対策等の一層の推進について、全国知事会を通じて国要望していきたいと考えております。
次に(c)インターネットによる過激な性情報から、子どもたちを守るための保護者への啓発について質問します。
ポルノ雑誌やテレビも過激ですが、インターネットはもっと過激です。完全無修正のポルノ画像はもちろんですが、最近では性交シーンの動画まで、配信されています。中学生、高校生になると、自宅で、自分専用のパソコンを持っている子どもたちも、多いようです。学校での使用と違い、自由に使えるパソコンから、多くの性情報のみならず、有害サイトからの情報を得ることができます。
保護者は、どのような情報がインターネットを通じて、配信されているのか、その実態を知ることが大切だと思います。知れば「たいへんなことになる」との危機感から、子どもを守る対策を、保護者自らが始めます。携帯電話による有害情報にも、同じことが言えます。
教育委員会は、インターネットによる性情報など、子どもたちを守るため、保護者への啓発を強化すべきだと思います。教育長のご意見をお伺いしたい。
【藤井教育長答弁】
性情報から子どもたちを守るための保護者への啓発についてであります。
インターネットは、子どもたちが様々なサイトに自由に接続することができ、便利で役に立つものである反面、使い方を誤りますと、犯罪等の被害者となるなどの可能性もありますことから、お示しのありましたように、多くの有害情報から子どもたちを守るためには、学校における情報モラルの指導に加えまして、保護者への啓発を図り、家庭においても、これに取り組むことが重要であります。
このため、県教委といたしましては、これまで、各学校に対しまして、インターネット等に潜む危険性について指導いたしますとともに、学校を通じて、保護者への周知を図ってまいりましたが、昨年の9月、いわゆる「出会い系サイト規制法」の施行に伴いまして、新たに、有害サイトに関する情報提供、有害情報への接続を制限するシステムの利用、情報機器の管理の仕方などを示しました啓発リーフレットを作成いたしまして、小・中・高等学校の全ての保護者に配付し、有害情報から子どもたちを守る家庭での取組みの徹底をお願いしたところであります。
次に、②ジェンダーフリー教育について質問します。
皆さんに聞いて頂きたいテープがあります。(テープを流す)
「お母さん」と聞こえませんか。鳥やイルカの鳴き声ではありません。秋芳洞に住んでいる、コウモリの赤ちゃんの鳴き声です。コウモリの赤ちゃんは「お母さん」と鳴くんです。本来は超音波ですから「ピッピッピッ」と甲高い鳴き声ですが、テープの回転数を落とすと「お母さん」と聞こえます。
コウモリは哺乳類です。お腹を痛めて、赤ちゃんを産むんです。天井に何千匹も、一緒に群がっているんですが、お母さんには何千匹いても、自分の赤ちゃんがわかるんだそうです。餌をとるために、洞窟から出て、再び戻ってくるとき、真っ直ぐ自分の赤ちゃんのところへ飛んでいきます。そのとき、お母さんを呼んでいる赤ちゃんの鳴き声が、この「お母さん」です。
私は毎年、大分県の九重高原で小学生を対象とした4泊5日のキャンプを行っています。2日目はいつも、炎天下、20キロのハイキング、そして夜は野宿です。
もっとも辛くて「家に帰りたい。お母さんに会いたい」と思っているとき、夜の行事で、このテープを聞かせてみました。何と、子どもたちは大泣きでした。「お母さん」という響きがいいんです。
私の長男が幼稚園のとき、運動会で園児50人が、頭から米袋を被って、校庭を走り回り、お父さんが自分の子どもを捜すというゲームがありました。まるで私の子どもに対する愛情を試されているような気がしました。結局、5人の袋をはぐって、全部ハズレでした。
観客席に戻ったときの、妻の目線の冷たいこと。「お父さんはなぜ、わからないんですか。私は初めからわかっていた」と言われてしまいました。10月10日、自分のお腹の中で育て、命がけで生んだ人はすごいと思いました。
子どもに対する愛情の深さは、父親は残念ながら、母親には勝てません。これこそ性差でなくて、何なんでしょう。
先日、読売新聞に、日本、アメリカ、中国、そして韓国で行われた高校生に対する調査で、日本の高校生は「男は男らしく」「女は女らしく」といった性差意識が、突出して「低い」という結果が掲載されていました。
調査は、4か国の各千人余りの高校生を対象に行った結果ですが、日本が特異な値を示したのは「女は女らしくすべきだ」との設問で、肯定した人が28%しかいませんでした。同じ問いかけに対して、アメリカは58%、中国は72%、韓国は48%です。「男は男らしく」という設問でも、日本で肯定したのは43%、アメリカは64%、中国は81%、韓国は55%で、4か国で唯一、半数を割り込んでいました。
日本の若者が、ジェンダーフリー教育の影響を受けた結果だと思われます。
先日の新聞に、川崎市内の中学校や高等学校では、男女同一の更衣室で、着替えをしているという記事が出ていました。小学校の修学旅行で、男女が同室で寝たという事例も数多くあります。性差否定いわゆるジェンダーフリー教育がここまできているのかと、大きな驚きを感じます。
男の子の「くん」付けは、男女差別につながるとの判断から、男女ともに「さん」付けで、呼ぶように指導している小学校があります。男女共同参画社会推進のために、その必要性があるのでしょうか。
教育長は、ジェンダーフリー教育について、どのようにお考えなのか、ご意見をお伺いしたい。
11月議会で、我が自民党の橋本議員からも質問がありましたが、県教育委員会作成の「学校における男女平等教育推進の手引」に対する、対応と、今後の取り扱い。また、男女共同参画担当相の福田康夫官房長官は先日「ジェンダーフリーという言葉を使わないよう自治体を指導していく」との考えを示していますが、今後の「ジェンダーフリー」という言葉に対する対応についても、お伺いしたい。
【藤井教育長回答】
次に、「ジェンダーフリー教育」についてであります。
まず、お示しのありました、男女の「さん」付けにつきましては、県内の小学校にも、児童・保護者や地域の理解を得ながら、「さん」付けで呼んでいる学校もありますが、こうした取組みは、必ずしも、男女共同参画社会の推進を目的としたものではないと考えております。
また、お示しの、性差を否定する「ジェンダーフリー教育」についてでありますが、ジェンダーフリーにつきましては、現在、一部に、男女の違いを一切排除しようという意味で使われるなど、様々な受け取り方があると考えております。男女共同参画社会とは、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会のことでありまして、男らしさや女らしさを否定しているものではないと認識してお
ります。
次に、「学校における男女平等教育推進の手引」についてであります。この「手引」の中で使用されております「ジェンダーフリー」という用語につきましては、先程申し上げましたように、様々な受け取り方がありまして、誤解を招くおそれがありますことから、今後は、この「手引」は使用しないこと、また、「ジェンダーフリー」という用語につきましても差し控えることとしておりますが、授業等で使用せざるを得ない場合は、その用語に様々な受け取り方があることから、誤解を招かないよう、十分に説明するよう、各学校に徹底を図ったところであります。
また、現在、県教委といたしましては、教職員が男女共同参画に関する教育について、理解を深めることができますように、関係部局と連携して、新たに、リーフレットの作成を進めているところであります。
次に、学校における性教育についてお伺いします。
皆さんにお渡しした資料は東京都の小学校で実際に使われていたものをコピーしました。性交の仕方を具体的に示したり、連想させる絵本ですが、東京都が「不適切な教材」と判断したものです。また川崎市が、高校生向けに作成した性教育テキストでは、10代にピルの使用を推奨したり、フリーセックスを容認するような内容まで掲載されています。
山口県内でも、最近、性教育という名のもとに、年齢や個人の受容度に関係なく、出産シーンのスライドやビデオを見せるなど、いたずらに知識を植えつけるという性教育を行っている学校があるようです。
県内のある高等学校では、エイズ対策と称して、出産シーンのビデオを男女一緒に見せています。後日、参加した女子生徒から「私は結婚したくなくなった」「私は絶対、子どもは生まない」という声を聞きました。
中学校では、コンドームの使い方を教えている学校もあります。
教えられれば、使いたくなるのが心情です。「セックスをしなさい」と教育しているようなものではないかと思われます。
性情報が氾濫しているからこそ、慎重な指導と、特に年齢と個人の受容度に応じた性教育が必要だと思われます。
羞恥心を無視した性教育は、性に対する文化まで否定するものです。
内容についても、現場に任せればいいというものではありません。
山口県内の小学校でも児童に、性器の名称を具体的に教え、テストで性器の部分的な名称を書かせたという事例があります。
授業内容を聞き、テストを見た親の感想がありますので、ご紹介します。
「ショックでした。家ではそのような具体的な性教育はしておらず、まだ、そのような内容を受け止められる年齢に達していないにもかかわらず、勝手な知識を子どもに埋め込み、本来、知らなかったことまで教える結果となりました。特に性的意識もない年齢の子どもが、必要以上の知識を得ることにより、興味のなかったことに興味を頂き、異性を友情以外の心情で見るようになることへの不安は、取り除けない段階にきています。
現在、日本が抱える、低年齢のエイズ患者の増加など、このような配慮に欠けた性教育にも原因があると思います。」
私も同様の考えですが、教育長のご意見をお伺いしたい。
【藤井教育長答弁】
学校教育における性教育についてであります。
お示しのありましたように、近年、様々な性情報が氾濫するなど、児童生徒を取り巻く環境が、複雑化、多様化する中で、児童生徒が正しい性知識をもち、自らの行動をきちんと判断できる力を育むことが強く求められております。
学校におきましては、各教科、道徳、特別活動など教育活動全体を通して、性教育を進めているところでありますが、この推進にあたりましては、お示しのありましたように、それぞれの児童生徒の発達段階や状況に応じて、取り組むことが重要であります。
このため、各学校においては、学習指導要領に基づき、性教育をすすめ、また、独自の教材開発や副読本を活用するに当たっては、児童生徒の発達段階や状況に十分に配慮し、取り組む必要がありますことから、今後とも、県教委といたしましては、学校において、このような基本をしっかりと踏まえた性教育が進められるよう、徹底を図ってまいります。
次に、学力低下とその対策について質問します。
文部科学省は学力低下を懸念する声が高まるにつれ、最近は「ゆとりの教育」から「学力重視への転換」を図っている姿勢が伺えます。
文部科学省に勤める友人は「うちの省内では、学力低下を招くことがわかっているから、自分の子どもを公立の中学校に通わせている人は、殆どいない」と言っています。
このままでは、公立の中学校や高等学校からは、一流大学に進学できない時代が、まもなくやって来ます。
学力低下の原因は、文部科学省の制度以上に、テレビやゲーム、パソコン、携帯電話などによる遊び癖がつき、ゆっくり勉強し、読書するという社会的風潮がなくなり、豊かさの中で、大人を含めた日本人全体の学習意欲が低下したことが、最大の原因であるように、思えてなりません。
今日の経済大国、日本を支えてきたのは、義務教育を終えた人たちが、読み書きができ、少し会社の教育を受ければ、最新の機械を動かすことができた、教育の高さがあったからこそだと思います。
このまま、子どもたちの学力の低下が進行し、将来、日本の総合的学力が低下したとき、資源のない日本が、どのような末路をたどるのか、大きな不安を感じます。
六十年代から七十年代、アメリカやイギリスで行われた「ゆとりの教育」がその後、どのような結果をもたらしたのか。よく研究してみる必要があると思います。
「ゆとり」という名のもとに、子どもたちの自由を際限なく認め、生徒手帳や制服もなくなり、強制力を失った教育が、今後、人格の形成にも大きな影響を与えていくのではないかという不安も感じます。私は「山口県は日本一、世界一の教育県であるべきだ」と強く願っています。
さて、昨年、山口県の公立高校の入試問題の平均点は、非常に高いものでした。その入試問題の、内容の易しさが、そのまま学力と意識の低下に、拍車を掛けていると思われます。
そこで、学力低下に対する対策として、公立中学校の「定期テストの統一化」を提案します。
これまで中学校における定期テストは、各教師に全面的に委ねられていましたが、県内の全中学校で、1年間に2回程度、同一範囲、同一日程、同一テストで実施する統一テストを行ってはどうでしょうか。平均点も60点程度が望ましいと考えています。
データは、科目別、分野内容別に到達度を集計し、次の学習課題の指針とし、さらに各中学校別に、平均点を出します。下位になった中学校の教師への奮起を促すことが目的であり、単に競争をあおるものではありません。
公立高校の入学試験は、県下全中学生に対して一斉に行われる、いわば統一テストです。その統一テストを県内の中学生のレベルアップを目的に活用することがねらいです。
教育長のご意見をお伺いしたい。
【藤井教育長答弁】
次に、中学校の定期テストの統一化のご提案についてであります。
児童生徒に「生きる力」を育むためには、一人一人の学ぶ意欲を高めながら、「確かな学力」の向上に取り組むことが重要であると考えております。
県教委といたしましては、各学校におけるわかる授業を一層推進するために、指導事例集として「わかる喜び 学ぶ楽しさ」の作成とともに、学力向上フロンティアスクールでの先進的な研究成果の普及にも努めているところであります。
さらに、来年度からは「中2中3の少人数学級化支援事業」をスタートさせまして、山口方式としての少人数教育の推進をとおして、学力の向上を図ってまいります。お示しのありました、公立中学校の定期テストの統一化につきましては、県内の生徒の学力の実態を把握し、指導方法の工夫改善を図るために、今後、本県独自の学力調査を実施することを予定しております。それを具体化していく中で、研究してまいりたいと考えております。以上でございます。
次に2.防災対策について
まず、高潮情報の改善について質問します。
平成11年台風18号で、宇部市では高潮により、山口宇部空港や西岐波地区で甚大な被害を受けました。その時の高潮は、本来の満潮時の潮高に対して、プラス2メートル9センチという数字が出ています。
ところが、平成3年の台風19号のときは、運良く干潮時に、台風が上陸したので、高潮の被害はありませんでしたが、そのときの高潮は、3メートルに達していました。2つの台風を比較しますと、低気圧による吸い上げ効果による高潮は、いずれも50センチ程度だったようです。
高潮にもっとも影響をあたえるのは吹き寄せ現象であり、瀬戸内海西部地域では、何時間、東寄りの強風が吹き続けるによって、高潮の高さが決まります。
平成3年の台風19号の台風が、大潮の満潮時に接近すれば、さらに約1メートル高い高潮に見舞われていたということになります。高潮対策のさらなる強化を期待しています。
さて、高潮による甚大な被害を受けた地域では、台風による高潮予報で「高潮の恐れがあります」と聞かされるたびに、夜も寝れないほど大きな恐怖を感じる住民が多くいます。
高潮に関する山口県のデータは、下関地方気象台や山口大学にあります。特定の防波堤などを基準にして、「平成11年の18号台風に比べて、」とか「どこそこの防波堤を超える恐れがあります」いうような詳しい高潮情報がなされれば、住民の安心感がますはずです。
六月の総務企画委員会での質問でしたが、住民の安心のため、高潮情報の改善について、その後の進捗状況をお伺いしたい。
【滝井総務部長答弁】
高潮情報の改善につきましては、本県では、これまで、たびたび台風による高潮被害を受けており、早期避難など被害軽減対策を講じますためには、県民の皆様に解りやすい気象情報の提供が、重要でありますことから、県は、下関地方気象台に対しまして、お示しの高潮情報の改善について要請をしてきたところであります。
現在、下関地方気象台では、宇部港など潮位が常時観測されている4つの港湾において、その地域で良く知られている岸壁を例に、高潮の高さを具体的に表現するよう検討が進められており、本年7月以降、順次、実施される予定であります。
また、これらの4つの港湾以外につきましても、同様の取り扱いができないか、下関地方気象台に要請をしているところであります。
次に、3.公共施設の設計基準について質問します。
全国どこに行っても、公共施設の建物の仕上がりレベルを見ると、民間施設に比べて、余りにも、高級品が使われています。
外装はもちろんですが、会議室の内装や机、椅子など、どのような基準で、使用する商品の価格レベルを決めているのでしょうか。
会議などで公共施設に行くと、豪華な布張りの椅子を使っているところがあります。新築時には非常にきれいでしたが、しばらくすると、弁当の汁や飲み物がシミとなり、汚れているものをよく見かけます。
民間とは掛け離れた、公務員のステータス意識が、それを設計監理する職員に働いているのではないでしょうか。
建物の構造は、地震や水害などの自然災害における県民の避難所としての利用を考えれば、通常の設計基準以上の強度を備えなければいけません。しかし、現在の財政状況を考えると、建物の仕上げレベルなどについては、全体の設計基準の見直しをされては、いかがでしょうか。ご意見をお伺いしたい。
【藤本土木建築部長回答】
公共施設の建物の設計基準についてのお尋ねにお答えします。
県におきましては、従前から、国の「官庁施設の基本的性能に関する技術基準」に基づき、それぞれの公共施設に求められる安全性や機能性、さらには経済性などを総合的に勘案した適正な設計基準を設定し、公共施設の設計を行ってきたところです。
また、近年の厳しい財政状況も踏まえ、施設の用途や目的を精査し、よりふさわしい仕上げ材や備品等の使用、さらには、新技術・新工法の採用に努めるなど、機能性や経済性にも配慮し、適宜、適切に設計基準の見直しを行ってきたところです。
今後におきましても、御提言の趣旨も踏まえ、コスト縮減の観点からも、より一層、施設の仕上げのレベルなどを始めとする施設全体の設計基準の精査・見直しを行ってまいります。
次に、4.行政一般について
まず、コンサルタントへの調査委託について質問します。
決算書や予算書をみると、コンサルタントなどへの委託料の大きさに驚かされます。多くの分野における民間委託が、行政の合理化に役立っているのだとすれば、素晴らしいことだと理解します。
委託の中でも、土木建築などにおける実施図面の作成や地盤調査はしかたありませんが、事業実施に至っていない調査委託、いわゆるコンサルタントへの安易な委託には疑問を感じます。
行政の調査委託については、かつて、あるコンサルタントと広告代理店の経営者から『県や市町村の行政は、最高のお客さんですよ。活性化事業などに対するコンサルタントやイベントは言い値ですから、、。活性化のための調査提出資料も、他の県や市町村から同じような依頼を受けていれば、表だけ変えて提出すれば、それでいいわけです』という話を聞いたことがあります。すべてがそのような業者ばかりとは思えませんが、予算の執行に当たっては、適切な対応が必要と考えますが、現状はどうなっているのかお伺いしたい。
【瀧井総務部長答弁】
コンサルタントへの委託についてでありますが、コンサルタントへの委託に当たりましては、仕様書において、達成すべきサービス水準を、出来る限り具体的に明記いたしますとともに、契約の履行過程において、県の管理監督が十分に働きますよう、留意いたしているところであります。
また、委託後におきましても、サービスの質やコストの妥当性など、その効果を随時検証し、必要に応じて、委託内容や委託料の積算見直しを行うなど、より効果的な委託の推進に努めているところであります。
こうした取組みを通じまして、コンサルタントへの委託に当たりましては、安易な委託とならないよう、今後とも十分に留意していきたいと考えております。
最後に、電子県庁構築におけるペーパーレス化について質問します。
8年前、1年間、ある大手企業と仕事させて頂く機会がありました。東京本社を訪問すると、ワンフロアーの部屋で、100名くらいの社員の方が働いていました。デスクの上にあるのは、ノートパソコンだけ。「書類は最低限で、すませろ!」いうのが社長の指示だそうです。特に営業部の部屋には、個人のデスクはなく、大きなテーブルで仕事をし、終われば個人専用のロッカーに、書類やパソコンは収納するというシステムになっていました。
部長は6名1組で机が並べられ、その一角に6名の部長に対して、秘書が1名という割合で配置されていました。個室を持っているのは社長と専務だけです。山口県庁はどうでしょうか。
仕事の打合せは、小さく仕切られた部屋を、事前に予約して使用するシステムになっていました。社長や管理職からの通達は、すべて電子メールで行われ、決裁もすべて電子決裁ですから、県庁のように、書類に印鑑の行列が並ぶことはありません。スピードがすべてという会社の経営姿勢がすごいと思いました。
再度、申し上げますが8年前の話です。現在、その会社は、この不景気にもかかわらず、株価1753円の優良企業です。
電子県庁の構築をめざし、平成13年12月に「山口県電子県庁推進アクションプラン」を策定し、平成15年4月に電子県庁推進室を設置し、ようやく、事務処理や決裁の電子化、また、ペーパーレス化への道筋が整いつつあるようですが、今後の取り組みとその構築スケジュールについて、お伺いしたい。
以上で質問を終わります。
【辻田地域振興部長】
電子県庁の構築におけるペーパーレス化等について、お答えいたします。
本県におきましては、お示しの平成13年12月に策定いたしました「山口県電子県庁推進アクションプラン」、これに基づきまして、行政サービスの向上や行政事務の効率化・高度化を図るため、電子県庁の構築に計画的に取り組むこととしておりまして、今年度から、電子県庁のシステム開発に着手しております。
具体的には、県民の皆様が、インターネットの画面上で、県への申請や届出を自宅からいつでも簡単に行うことができる電子申請・届出システム、それから、決裁等の行政内部の事務処理を電子化し、ペーパーレス化や事務処理のスピードアップなどに資する総合文書管理システムといった電子県庁の基幹となるシステムの開発を、現在、鋭意進めておるところでございます。
今後の電子県庁の構築スケジュールにつきましては、本年度より3ヶ年かけましてシステム開発を行うこととしております。平成16年の秋を目途に、電子申請・届出システムと総合文書管理システムの運用を部分的に開始するなど、今後完成したシステムから順次運用を開始いたしまして、平成18年度には全面稼働したいと、このように考えております。
今後とも、業務の一層の能率性向上や質の高い行政サービスの提供をめざしまして、電子県庁の構築に積極的に取り組んでまいります。