若い頃6年間、建設業に関わり、一級建築士などの資格を持つ建築家として、建設業界の将来に大きな不安を強く感じ、2007年から建設業界の抱える多くの課題への取り組みを始めました。
まず、建設業界のかかえる課題・実態を把握し、取り組みを具現化するために、一般質問への準備として、建設業者333社へのアンケート調査を行いました。
>>アンケート調査報告・入札制度改正等はこちらをご覧下さい。
アンケートは社団法人山口県建設業協会の役員53社と、宇部市内の業者280社、合計333社に対して、経営ならびに受注状況、入札制度のあり方、低価格入札について、また県ができる支援策や意見など、択一式と記述式合わせて、A4版3ページ45項目について実施しました。
ご返送頂いたすべての回答に、意見や県に対する要望が真摯に記載されており、記述部分が多いにもかかわらず、通常、大学等で実施しているアンケートの回収率を遥かに上回る152社、46パーセントの会社から頂くことができました。
ご協力を頂きました業者の皆様に心から感謝申し上げます。
書かれた言葉一語一語に業界の持つ厳しい実情を知らされた思いです。
アンケートの結果を、皆さまのお手元に資料として提示させて頂きました。
建設業界はバブル経済の崩壊以降、民間事業の落ち込み、ならびに公共事業予算の大幅な削減と、入札制度の改正によるダンピング入札の多発、大手ゼネコンの談合事件による世論の厳しさなど、経営環境は非常に厳しく、相次ぐ地元企業の倒産など危機的な状況に陥っており、国家の礎を築く重要な役割を担っている自信と誇りを失いつつあります。
就業人口の1割を占める建設業は、元請け・下請け・孫請けという特殊な事業形態で成り立っており、関係する業者を含めれば、その影響は全就業人口の3割とも5割とも言われています。
元請けの工事受注額が下請けの受注額を大きく左右し、ダンピング入札の多発が、所得格差の要因の一つとなっています。
別紙資料の低価格入札に関する資料をご覧頂くと、農林事務所関係では下関において平成16年度2件が、平成18年度には21件と、10倍以上に増えており、全事務所の合計では2年間で6倍に増えています。土木事務所関係では、下関が平成16年3件が平成18年には36件と、12倍に増えており、全事務所合計では2年間で約5倍に増えています。
特に平成17年以降、その傾向が強く、公共事業の減少による影響だけではなく、入札制度など他の要因も影響していると思われます。
入札制度の改正目的は「地域産業の育成と公正な競争の確保」です。
しかし、道路、橋梁、トンネル、港湾など民間からの発注を見込めない事業を専門的に受注している企業が、予定工事価格の70%台の低価格で受注を繰り返せば、工事原価だけで持ち出し、現場監督の給料、ましてや事務所経費も出ない状況の連続となり、下請け企業はもちろん、元請け企業も倒産するしかありません。
公共事業の低価格入札は恒常化し、品質管理や安全管理が問われるような事件事故の発生、また低価格入札に伴う行政側の業務費の負担増も問題となっています。
大手ゼネコンによる談合事件が発生するたびに、公共事業不要論が叫ばれています。
しかし、社会基盤整備は産業の振興と、暮らしの安心安全を支える大切な事業です。
業界が疲弊し衰退すれば、仮に大規模災害が発生した場合、早急な復旧工事などを請負う企業がなくなり、県民の安心安全が守られなくなる可能性もあります。
地域産業を担う中小建設業者の育成、入札制度の改善、公共事業予算の積極的な確保などに取り組む必要性を強く感じます。
公共事業予算の推移をみますと、土木建築部と農林水産部を合わせて、18年度は1322億円と平成10年のピーク時に比べ約50パーセントまで落ち込んでいます。
山口県の財政状況は非常に厳しく、「財政改革」に取り組まれていることは十分承知しておりますが、これまでのような一律的な公共事業予算の削減が今後も続けられることとなれば、社会資本整備を担う地方の建設産業はさらに衰退し、地方経済をも疲弊させ、大きな影響を与えることが懸念されます。
安全で豊かな地域社会を実現するためには、社会産業活動の基盤となる道路、河川、住宅、下水道をはじめ、各種の社会資本の整備が不可欠です。
日本列島は、台風・豪雨・地震等の常襲地帯であり、毎年のように多くの尊い生命や財産が失われています。災害から国民の生命・身体・財産を守り、安全で安心して暮らせる環境を整備することは、重要な責務であり、根幹的な社会資本整備は基より、防災、減災対策を一層推進していくことが重要です。
また、地球温暖化対策としての住宅の断熱化対策、学校などの公共施設の耐震化工事なども、急務の課題となっています。
また、本県では初の議員提案条例として「中山間地域振興条例」が制定されました。
中山間地域の就業構造を見たとき、公共事業の役割が、いかに大きいかを見逃すことはできません。
公共事業のあり方については、様々な議論があることは十分承知しており、厳しい財政事情の下、公共投資額の増額を図ることは大変厳しい状況にあると思いますが、本県の経済の発展と地域の活性化にとって、民間需要を喚起する公共投資が依然として重要な役割を担っていることも事実です。
こうした観点に立って公共事業を推進するために、積極的な財政運営を強く要望しています。
◆ 2007.11.12 建設業者へのアンケート依頼文書
◆ 2007.11.13 入札制度・低入札についてのアンケート内容
◆ 2007.12.10 アンケートによる実態調査(%と業者数)
◆ 2007.12.10 アンケートによる実態調査(%のみ表示)
◆ 2007.12.10 アンケートへのコメント(実態調査%)
◆ 2007.12.13「12月議会一般質問」に対する答弁
◆ 2007.12.13「12月議会一般質問」議場配付資料①「コメント集」
◆ 2007.12.13「12月議会一般質問」議場配付資料②(コメント)
◆ 2007.12.13「12月議会一般質問」議場配付資料③元データ
◆ 2007.12.13「12月議会一般質問および再質問」の原稿 (横書き)
◆ 2007.12.14「12月議会一般質問」新聞記事
◆ 2007.12.15 建設業者へのお礼と報告(A4)
◆ 2007.12.15 建設業者への報告書
◆ 2008.3.25 山口新聞記事
◆ 2008.3.25 入札制度改正の報告(判断基準額引上げ)
◆ 2009.12.5 入札制度の改正報告
◆ 2010.5.31 土木建築「調査基準価格の引き上げ」
◆ 2010.10.20 報告書(入札制度の改正)
◆ 2010.10.23「業務委託の入札改正」の要望
◆ 2011.7.29 6月議会(入札契約制度の改正)