2012年4月14日(土)午後2時から、山口大学人文学部大講義室で開催された
「私たちのまちづくりを実現するマニフェストをめざして」と題してのローカル・マニフェスト推進ネットワーク中国の主催によるフォーラムにパネリストとして登壇させて頂きました。

 環太平洋大学講師(岡山)の林紀行先生の基調講演

さて、東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故など日本の状況は厳しさを増しています。
人口減少、それに伴う生産年齢人口の減少のうえに、大震災と原発事故で重苦しささえ漂っています。
この閉塞感を打開するには、政治の復権、とりわけ政策力が不可欠だと思います。
そのツールの一つであるマニフェストは09年の政権交代の原動力になりましたが、財源面の掘り下げ不足などが明らかになり、国民は不信感を募らせています。
しかし、中央政府と地方自治体を通じる財政難、少子高齢化などの難題を切り開いていくのは政策以外にありません
自治体においても、まちづくり施策の達成目標、達成時期、必要財源の調達方法を有権者に示し、選挙で判断を仰ぐローカル・マニフェストが欠かせません
こうした観点から、山口県内で初めて「私たちのまちづくりを実現するマニフェストをめざして」を考えるパネルディスカッションが開催されました。

環太平洋大学講師(岡山)の林紀行先生が初めに「マニフェストとまちづくり~地域自立の処方箋」と題して基調講演をされ、パネルディスカッションでは「私たちのまちづくりを実現するマニフェストをめざして」をテーマに、ローカル・マニフェスト活動に熱心な山口市長の渡辺純忠氏、倉敷市議会青空市民クラブの時尾博幸氏、みんなでつくる震災被災者支援情報サイト代表の茂田幸嗣氏(広島県職員)、そして私が登壇し、皆さんとともに考える機会となりました。


岡村精二の参考資料

《優秀政策提言賞大会記念冊子原稿.pdfファイル》

《山口県議会議員「岡村精二の約束」.pdfファイル》

《ローカル・マニフェスト推進中国地区フォーラム2012のパンフレット》

「提案させて頂いた私の大きなマニフェスト:山口県庁を副都心(平成24年2月議会一般質問より)
首都機能の分散、バックアップ体制を早急につくる必要性が、テレビや週刊誌などで取り立たされています。
各地方にバックアップ拠点として、危機管理都市を作り、どこが被災しても、日本全体の機能が損なわれないシステムを早急に立ち上げる必要性があります。
「大阪を副都心に」という記事をよく見聞きしますが、名古屋も京都も大阪も、活断層が多数存在しています。

ところで、「山口県を副都心に」と名乗りを上げては如何でしょうか。
3方を海に囲まれているにもかかわらず、人口の少ない盆地に県庁所在地がある県は他にはありません。
しかも、山口市はパラボナアンテナがあるほど、地盤が安定し、風水害もほとんどありません。
私は「山口を副都心に」と真面目に考えています。県庁の建物は、築25年を経過していますが、非常に頑丈な建物です。
何より、西の京都、西京です。
県庁の建物を国に買って頂き、新しい庁舎を新山口駅近郊に新築してもらってはどうでしょうか。
50万都市は一気に誕生しそうです。
先般、医療機器メーカーのテルモの山口テクノパークへの進出が決定したとのことですが、リスク分散という意味でも、企業誘致を進めるには最高の立地条件が、山口県にはあるように思います。

 

フォーラムで頂いた質問に対する私の回答 

①    なぜマニフェストに取り組むようになったのか
議員に立候補したとき、多くの人から、「岡村さんは議員になって何をしたいのですか」という質問を受けました。
支持して下さるからから見れば、当然の質問です。
「自分自身が政治家として何をやりたいのか。それがはっきりしないと、立候補する大義が立たない」と感じました。
特に、娘から「お父さんが尊敬できる政治家なら応援したい」と言われたことが大きい。
目的がはっきりすれば、達成に向けて頑張ろうとする意欲がでます。
 (太平洋横断のとき作成した成功までの計画表と同じ)
②    自身のマニフェスト活動の紹介をしてほしい。
市議会議員のとき、一番気合を入れて取り組んだのは、「性差を否定するのではなく、お互いの性差を認めたうえで、協力し支え合う男女協同参画条例の制定」「市民活動の充実と行政との協働を推進するための市民活動センターの設置」に取り組みました。
県議として1期目の公約として取り組んだのは「有害図書の規制」「過激な性教育の抑制」でした。
有害図書の規制については、山口県は日本一厳しい規制となりました。
2期目は景気の低迷と公共事業の削減、さらに低価格入札で苦境に喘いでいる建設業界を支援するため「公共事業の入札制度改正」に取り組みました。
一級建築士として長年、建築に携わってきたものとして使命感を感じていますので、これからも取り組んで行きたい。
3期目となる今期は「博士号を持つ防災の専門家として山口県民の命を守る」と公約に掲げ選挙で街宣しました。
「私の役割だ」という強い使命感を感じています。
使命感こそが、議員活動の原点であり、生きがいでもあります。
③    ニフェストの作成過程で市民とどう向き合いましたか?
昨年の県議選の前、マニフェストの作成段階でミニ集会を5箇所で開催し、意見や要望を伺いました。
特に、中山間地域でのサル、イノシシなどの鳥獣被害は甚大で、生活に及ぼす影響の大きさを実感しました。
作成段階で市民と、政治家としての活動目的を共有できるということでは、ミニ集会は大切だと思われます。
③マニフェストを掲げたことで、その後の政策展開に効果がありましたか。もし、マニフェストを掲げなかったらどうでしたでしょうか。
使命を持って行動することにより、執行部に訴える迫力と本気度の違いが、政策実現に大きな力を発揮しているように思います。
お互い人間同士ですから、執行部も何とかしたいという気になってくれます。
公共事業の入札制度改正への取り組みについては、A4判5ページのアンケート用紙を作成し、県内の建設業者333社に発送し、156社から回答を頂きました。
アンケートの集計だけで事務委員が1週間を要し、それをまとめることについては、県の職員にもお手伝いを頂きました。
アンケートに書かれた一文字一文字に業者のおかれている現状の厳しさを感じ、使命感を持って制度改正に取り組むことができました。
山口県の入札時の調査基準価格は、この3年間で予定価格の70%から90%に引き上げられ、日本でもトップ水準の高さとなりました。
また、有害図書の規制も実質的には日本一厳しい内容になっています。
④    派マニフェストが首長のマニフェストと対立したらどうしますか。
議会は多数決が民主主義だから、議員は多数派工作するしかありません。
しかし、議会には与党と野党が存在している。
首長は与党のいうことは聞くが、野党の言うことには耳を貸さないという風潮もあり、野党は数の上で無視される可能性もあります。
首長と議会が対立した場合、マニフェストを議員が本気でやり遂げようとするなら、自分自身が首長になるか、全体意見をまとめる努力をするしかありません。
議員マニフェストの難しさが、ここにあるように思います。
議員が公約を実現するには、大きなエネルギーが必要ですね。
⑤    ニフェストの今後の課題と改善点についてご意見をお聞かせください。
マニフェストを作成するには、現状の正確な実態把握と数値的な裏づけを調べたうえで、その実現性について客観的に検討分析し、公表し、行動を起こさなければ、詐欺フェストと言われかねません。
マニフェストは有権者との約束、このことをしっかりと受け止めたうえで作成しなければ、意味がありません。
現状数値と目標数値は必須だと思います。