神奈川県横浜市の福島明人さん(28歳)が、友人の紹介で、私を訪ねてきました。
目的は単独太平洋横断についてのアドバイスです。

私が手作りのヨットで横断したのは、34年前、昭和52年、23歳のときでした。
当時はまだ、ヨットによる単独太平洋横断が「冒険」といわれた時代で、
私の航海も自設計自作による初めての挑戦として、第1面に取り上げられましたが、
今では、ほとんど記事としては取り上げられなくなりました。
太平洋横断は「冒険から、誰でもできる航海」という見方に変わったのだろうと思います。

ヨットもベニヤ板(9ミリ厚)製で、まだFRP製のヨットは少数派でした。
今では、木製のヨットはほとんどなくなり、時の流れを感じます。
航海術もセキスタント(六分儀)を使い、太陽と水平線の角度を正確に測り、時計をチェックして位置を計算しました。
正確な時計は必需品で、発売されて間もなかったセイコウの腕時計「クウォーツ」を2万7千円で購入しました。
当時の大卒の初任給が6万円くらいでしたから、本当に高価でした。
今なら1000円で購入できます。

さて、福島さんは、明るい性格で人柄もよく、真面目な青年でした。
7月1日、横浜ベイサイドマリーナを出港して約60日から70日で、サンフランシスコを目指すとのことです。
話を伺うと、経験も準備も十分過ぎるほどできており、ヨットもよく整備された「バンドフェット30(9m)」でFRP製のヨットです。
私のときより、準備をされているなあと感じました。
「荷物の忘れ物」さえがなければ、失敗することはないと思いました。

私のアドバイスは2つ。
1.航海中に、将来の生き方(生き様)を考え決めること。
(将来、ヨットで生計を立てようと思わないこと)
2.人間関係での悩みを持ったまま、出港しないこと。
(孤独感は不安定な人間関係があって、初めて生じる)

時間が取れれば、ぜひ、お見送りに行きたいと思います。

「私もまた、挑戦してみたい」(本音です)