宇部小野田湾岸道路の建設にあたって、平成12年に解体された旧・宇部興産本社ビルの玄関前には、大きなクスノキが3本ありました。
解体された頃、私は「ウベニチ新聞」のコラム「冬至夏至」の毎週土曜日を担当していました。
そのコラムに「クスノキは残った」という題名で1000字程度の原稿を書いた思い出があります。
ビルが解体された後も、クスノキだけは残っていましたが、最近になって、いつも間にか、姿を消していました。
植え替えのため、掘り起こされて、仮置きされてたようです。
3本のうち、1本は枯れてしまい、1本は宇部マテリアルの本社前に植えられました。
残りの1本の行き先に苦慮していたとき、偶然、かつて私が書いたコラムの原稿のコピーが、
宇部興産の総務課と湾岸道路事務所に残っていたこともあっって、突然、お電話を頂きました。
「精華学園高等学校にクスノキはいりませんか?」
びっくりでした。
学校の土地所有者は宇部市であり、学園は借用しているだけなので、宇部市に問い合わせたところ、
「問題ないでしょう」との返事を頂きました。
その後、手続きを経て昨年の3月8日、学校前の道路沿いの敷地に移植されました。
あまりにも、大きなクスノキにみんなびっくりしました。
移植された後、お酒をまき、職員は毎日、「枯れなければいいが・・」と水を与えました。
皆さんの努力で、5月には多くの新芽が出て、ほっとしました。
昨年の夏の暑さは、特に厳しく心配しました。
あれからまもなく1年を迎えますが、もう大丈夫ですね。
大きく茂ると、バス停で待っている人たちのいい日陰ができそうです。
実は、昨年3月8日は、私が学位「博士(工学)」を頂いた日です。
私にとっても、いい記念になりました。
下の写真は、兄弟分の宇部マテリアルのクスノキですが、立派に根付いています。
別々の場所で、新しい人生を歩みだしたクスノキです。
これからも見守っていきたいですね。