平成19年度12月定例議会・一般質問・答弁

Updata 2007年 12月16日

一般質問

12月13日
岡村精二議員:一般質問全文

(自由民主党)

皆さん、おはようございます。自由民主党の岡村精二です。

さて、とかく公共的な仕事に携わる方々は、先例主義と法令遵守に従った対応をされるものですが、私はこれまでに信じられない親切を2度受けたことがあります。

その体験をご披露させて頂きます。

一つは、特急電車を臨時停車させてしまったことです。

三重県津市に講演で訪れたとき、私は名古屋駅から津市に向かう近鉄特急に乗りました。ところが、電車を乗り間違えて、大阪難波駅行きのノンストップ特急に乗ってしまいました。間違いに気づいたのは電車が、津駅を通過したときでした。

「困った」という顔をしていると、偶然通りかかった車掌さんから声を掛けられ「間違えて乗車してしまいました」と答えると、「ついて来て下さい」と手招きされました。

最後尾の車掌室に入ると「次の伊勢中川駅に臨時停車しますので、車掌室から降りて下さい。」と言われてびっくりしました。

駅に近づくと、マイクを持ち「信号待ちのため、伊勢中川駅に臨時停車します」と話し、私に笑顔を向けてくれました。今もあの車掌さんの笑顔が忘れられません。

電車がゆっくり駅のホームに入ると、駅員の方が2人待って下さっており、人目につかないように車掌室のドアから降ろすと、同時に電車は何事もなかったかのように発車して行きました。

走り去っていく電車に、私は頭を深く下げました。

私は駅員の指示に従って、津駅に戻り、おかげ様で講演に間に合い、迷惑を掛けずにすみました。

以来、私は近鉄バッファローズのファンになりました。今は引き続き。楽天、特に田中君の大ファンです。

二つ目は、警察に、私の塾の子どもたちを各家まで送って頂いた話です。

塾の授業が終り、子どもたちを私のワゴン車に載せて、家まで送っていたとき、偶然、警察の検問に遭いました。

免許証の提示を求められたとき、免許証の更新を忘れていたことを思い出しました。

「君、免許が切れているじゃないか。無免許だな。」と言われたとき、顔面蒼白になりました。

「子どもたちを送っている最中ですが、運転できませんよね」と伺うと「当然ですよ。無免許ですから」と言われたあと、「しかたがない。君、助手席に乗りなさい。私が運転しますから、道を指示して下さい」と言われてびっくりしました。

結局、その警察官は、8名の子どもたちをそれぞれの家まで送って下さいました。

しかも、後ろにパトカーを従えてです。最後に私を塾まで連れて帰り、免許証の更新について説明して下さったときの、警察官の笑顔が素敵でした。

私はパトカーを見送りながら、私は頭を深く下げました。

2つとも、公的な立場にある人が個人の裁量を、最大限に発揮して下さった親切な行動で、忘れることができません。

近鉄電車の社長さんと山口県警本部長さんにお礼の手紙を書こうと思いましたが、そのままになっています。

山口県警の皆さまにはこの場を借りてお礼申し上げます。

県の職員の皆さんも、先例主義、法令順守も大切ですが、それだけにとらわれない県民の立場に立った、今以上に親切な対応をお願いしたいと思います。


それでは、通告に従い、一般質問をさせて頂きます。

実は今回の一般質問には、当初5項目の質問を用意していました。

しかし、低価格入札など建設業界の抱える課題についてアンケートを行った結果、「とても短い時間で対応できる課題ではない」と強く認識し、あえて今回は「土木建築行政について」の1問だけにさせて頂きました。

実情をしっかりご理解頂いたうえで、先例主義、法令主義、また他県の対応に捉われない、業界に夢と希望、自信と誇りを与えて頂けるご答弁を期待しています。

さて、アンケートは社団法人山口県建設業協会の役員53社と、宇部市内の業者280社、合計333社に対して、経営ならびに受注状況、入札制度のあり方、低価格入札について、また県ができる支援策や意見など、択一式と記述式合わせて、A4版3ページ45項目について実施しました。

ご返送頂いたすべての回答に、意見や県に対する要望が真摯に記載されており、記述部分が多いにもかかわらず、通常、大学等で実施しているアンケートの回収率を遥かに上回る152社、46パーセントの会社から頂くことができました。

ご協力を頂きました業者の皆様に心から感謝申し上げます。

書かれた言葉一語一語に業界の持つ厳しい実情を知らされた思いです。

アンケートの結果を、皆さまのお手元に資料として提示させて頂きました。

建設業界はバブル経済の崩壊以降、民間事業の落ち込み、ならびに公共事業予算の大幅な削減と、入札制度の改正によるダンピング入札の多発、大手ゼネコンの談合事件による世論の厳しさなど、経営環境は非常に厳しく、相次ぐ地元企業の倒産など危機的な状況に陥っており、国家の礎を築く重要な役割を担っている自信と誇りを失いつつあります。

就業人口の1割を占める建設業は、元請け・下請け・孫請けという特殊な事業形態で成り立っており、関係する業者を含めれば、その影響は全就業人口の3割とも5割とも言われています。

元請けの工事受注額が下請けの受注額を大きく左右し、ダンピング入札の多発が、所得格差の要因の一つとなっています。

別紙資料の低価格入札に関する資料をご覧頂くと、農林事務所関係では下関において平成16年度2件が、平成18年度には21件と、10倍以上に増えており、全事務所の合計では2年間で6倍に増えています。土木事務所関係では、下関が平成16年3件が平成18年には36件と、12倍に増えており、全事務所合計では2年間で約5倍に増えています。

特に平成17年以降、その傾向が強く、公共事業の減少による影響だけではなく、入札制度など他の要因も影響していると思われます。

入札制度の改正目的は「地域産業の育成と公正な競争の確保」です。

しかし、道路、橋梁、トンネル、港湾など民間からの発注を見込めない事業を専門的に受注している企業が、予定工事価格の70%台の低価格で受注を繰り返せば、工事原価だけで持ち出し、現場監督の給料、ましてや事務所経費も出ない状況の連続となり、下請け企業はもちろん、元請け企業も倒産するしかありません。

公共事業の低価格入札は恒常化し、品質管理や安全管理が問われるような事件事故の発生、また低価格入札に伴う行政側の業務費の負担増も問題となっています。

大手ゼネコンによる談合事件が発生するたびに、公共事業不要論が叫ばれています。しかし、社会基盤整備は産業の振興と、暮らしの安心安全を支える大切な事業です。

業界が疲弊し衰退すれば、仮に大規模災害が発生した場合、早急な復旧工事などを請負う企業がなくなり、県民の安心安全が守られなくなる可能性もあります。

地域産業を担う中小建設業者の育成、入札制度の改善、公共事業予算の積極的な確保などに取り組む必要性を強く感じます。

公共事業予算の推移をみますと、土木建築部と農林水産部を合わせて、18年度は1322億円と平成10年のピーク時に比べ約50パーセントまで落ち込んでいます。

山口県の財政状況は非常に厳しく、「財政改革」に取り組まれていることは十分承知しておりますが、これまでのような一律的な公共事業予算の削減が今後も続けられることとなれば、社会資本整備を担う地方の建設産業はさらに衰退し、地方経済をも疲弊させ、大きな影響を与えることが懸念されます。

安全で豊かな地域社会を実現するためには、社会産業活動の基盤となる道路、河川、住宅、下水道をはじめ、各種の社会資本の整備が不可欠です。

自民党山口県連が実施しました移動政調会でも、各市町からの要望は、そのほとんどが道路や河川の改修でした。

日本列島は、台風・豪雨・地震等の常襲地帯であり、毎年のように多くの尊い生命や財産が失われています。災害から国民の生命・身体・財産を守り、安全で安心して暮らせる環境を整備することは、重要な責務であり、根幹的な社会資本整備は基より、防災、減災対策を一層推進していくことが重要です。

また、地球温暖化対策としての住宅の断熱化対策、学校などの公共施設の耐震化工事なども、急務の課題となっています。

また、本県では初の議員提案条例として「中山間地域振興条例」が制定されました。中山間地域の就業構造を見たとき、公共事業の役割が、いかに大きいかを見逃すことはできません。

公共事業のあり方については、様々な議論があることは十分承知しており、厳しい財政事情の下、公共投資額の増額を図ることは大変厳しい状況にあると思いますが、本県の経済の発展と地域の活性化にとって、民間需要を喚起する公共投資が依然として重要な役割を担っていることも事実です。

こうした観点に立って公共事業を推進されますよう積極的な財政運営を強く要望するものです。

以上のことを踏まえ、以下7点についてお伺いいたします。

まず、山口県における建設業界の現状について質問します。
建設業界の窮状については、知事もご承知のことと存じます。

我が国の経済は、安定した景気回復の下にあり、景気の拡大は継続していると言われておりますが、地域別、業種別に見れば、その格差は拡大しており、特に建設業界は、長年続く国及び地方の公共事業予算の大幅な削減により、極めて厳しい経営環境におかれています。

11月28日付けで、山口市内のある建設会社が倒産しました。負債総額は2億8千万円だそうです。新聞によると創業71年、公共事業の土木工事や舗装工事を主体に手掛け、ピーク時には年間11億円の売上げを計上した中堅業者です。しかし、近年の公共事業の減少と、低収益工事が続いたことで経営が苦しくなり、今年5月期には3300万円の赤字を出し、資金繰りが悪化したとのことです。

三重県に住む私の親友は建設会社を経営していましたが、3年くらい前から会う度に、受注価格の低迷と厳しい経営状況を口にするようになっていました。その彼の会社が10月、7億円の負債を抱えて倒産しました。彼は倒産後も毎日休まず出勤し、債権者から逃げず、お詫びの日々を送っているようです。

先日、業界の実情を伺うために会ってきました。

「倒産したことは残念だけど、誠実に取り組んできたおかげで、債権者の皆さんが逆に慰めてくれました。有難いですね。」と語る彼の眼には涙が浮かんでいました。原因については「仕事が少ないから、売上げを確保するために、安くても仕事をとる。

仕事が全くなければ、事務所経費は100パーセント赤字、安くても仕事があれば、少ない赤字で済むし、倒産までの時間が稼げる。公共工事を受注した場合は、前払金を運転資金に回し、最後は自転車操業でした。倒産寸前には来年に向けてかなりの仕事量を受注していたし、銀行の融資も支店では決まっていたのに、突然の本店からの命令で融資は中止です。銀行は薄情ですよ。」

と答えてくれました。

そのあと「岡村さん、来年は建設関係で凄い数の倒産が出ますよ。この2年くらいの低価格入札の連続で、企業体力が低下していますから、どこも、ぎりぎりの経営状態のはずです」と厳しい表情で言葉を続けました。実感のこもった発言でした。

山口県内の建設業に携わる従業員数は18年度60,006名全産業の9.2パーセントであり、大変な状況です。

山口県における建設業界の現状に対する知事のご所見をお伺いいたします。

次に、公共事業の県内企業への優先発注について質問します。
地域の建設企業は、公共施設の維持管理や災害時の緊急出動、あるいは社会貢献活動など、地域に密着した企業活動を行っており、地域経済の活性化や雇用の確保に貢献しています。

このような社会的役割を考慮し、県発注工事は、県内企業への優先発注をされるべきだと思われます。

また、県内の建設企業は、技術に優れた地域の中堅企業を目指し、トンネル等の特殊技術対象工事に対しても、下請けやJV参加によって、技術の習得と向上、技術者の育成に懸命に取り組んでいます。その結果、ほとんどの特殊工事について、県内建設企業で施工が可能となっています。

18年度の県公共事業の発注額は804億円であり、そのうち県外業者の受注額は146億円、全体の18パーセントになっています。

つきましては、公共工事量も大幅に減少している現在、こうした特殊技術対象工事についても、県内業者へ優先的に発注されるべきだと思います。

また最近、下請けとして、県外の業者が安い金額で受注し、それに伴う品質低下が危惧されているとの意見もアンケート調査で出されています。

県内業者への優先発注を強く要望するものですが、ご所見をお伺いいたします。

次に、公共事業の入札制度について。
12月7日付けの山口新聞第一面に、「山口市発注工事で1円単位の同額入札急増し、くじ引きで落札者を決定したケースが、10月以降だけで14件。10月から、市の低入札調査実施要領が改正され、判断基準額が推定しやすくなったとのが原因」いう記事が載っていました。

秋穂地区生涯学習センター造成工事の入札では、予定価格1億3283万4450円に対して、16社中、8社が予定価格の69.3パーセント、9203万5298円の同額で入札しています。

かつて現場監督をしていた私にとっては、信じられない低価格です。それ以上にこれだけの工事で、容易に判断基準額を推定し、それを1円上回る金額で入札することができる入札制度に、大きな問題を感じます。

また昨年の全国知事会の決定による一般競争入札の拡大や参加企業数の拡大は、更にこれに拍車をかけ一向にダンピング入札に歯止めがかからない状況にあります。

ダンピング入札は経費節減のため下請けへのしわ寄せや賃金の低下にとどまらず、品質面の危惧や、場合によっては、人の「いのち」に係わる安全面への影響も懸念されるところです。

一昨年施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の趣旨に基づき、価格と品質が総合的に優れた企業選定と、地域の実情を加味した実効性のある運用により、真に技術と経営に優れた企業が適正に受注でき、経営的にも発展していくことができる環境づくりが必要と思われます。

そこでまず、適正価格について質問します。
入札時に、山口県では予定価格が事前に公表されています。

その予定価格は、県が独自に作成した積算基準に基づき、品質管理、安全管理のうえでも、適切であるとの判断から、県が自信をもって計算され提示した価格です。

「落札価格が適正価格」という意見もあるようですが、私は「予定価格イコール適正価格」と考えています。

「適正価格」に対する、県としてのご所見をお伺いいたします。

次に、予定価格の事前公表について質問します。
入札により、事前に公表された予定価格に近い金額で落札されると即、「談合ありき」という疑いをかけられる社会的風潮は如何なものでしょうか。建設業界はもちろんですが、県も潔白さに自信を持ち、毅然とした対応をとって頂きたいと思います。

仮に、予定価格を事前に発表しなければ、公平な入札が可能であり、企業の技術力を評価できます。

予定価格を事前に公表する理由は、発注元である県が、談合との関わりを疑われることを防ぐためであり、私には責任を逃れるための方策に過ぎないように思われます。

全国的には33都道府県が予定価格を事前公表し、12県が事後公表、2県が併用となっています。仮に廃止しても、異論はないと思われます。

予定価格が事前に公表された場合も、技術力があり、かつ人員的にもゆとりのある企業は、真剣に積算を行い入札に臨んでおり、アンケート調査によれば、60%の企業が真剣に積算を行っていると回答しています。

しかし、回答を頂いた企業は、回答用紙をみると、真剣に企業の将来を考えている経営者が多く、回答を頂けなかった業者数を考慮すると、真剣に積算を行っている業者はその半分以下かもしれません。

私が直接、話を伺った業者からは、予定価格の何パーセントで入札するかを先に決め、それから明細書を作成するという意見が大半を占めていました。こうしたやり方が、低価格入札の激増にも繋がっているかと推察されます。

企業の技術力の向上を考えれば、予定価格を事前公表しないほうが、本来の入札制度のあり方であると思われます。

そうすれば、山口市で起こった1円単位の同額入札など起こるはずもありません。仮に予定価格を公表しようとすまいと、談合のできる時代ほど、業者間の連携は存在しない状況になっているのが実情です。

事前公表が、県職員からの予定価格漏洩回避が目的ならば、職員の倫理規定上の問題であり、アンケート結果をみますと、業者が自ら積算した場合、予定価格では実行予算にも満たない事例も多々あるようです。

私は廃止することも検討すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

次に、入札業者の選定について質問します。
一般競争入札と指名業者による入札は、それぞれのメリット、デメリットが存在します。

価格と品質が総合的に優れた企業選定。地域の実情を加味した実効性のある運用。特に、過去の施工実績、工事成績、技術者の経験の有無。真に施工能力のある企業や災害・緊急時などに地域貢献している企業の選定。

などを加味すると、単に間口を広げる、一般競争入札が良いとはいえません。

指名競争入札のメリットも視野に入れ検討をして頂きたいが、ご所見をお伺いいたします。

次に、低入札調査基準価格と判断基準額の引き上げについて質問します。
県民の側からみれば、1円でも安い価格で業者に受注させるのが、当然という意識があり、業界の側だけに立っての議論はできません。

「高い品質の構造物を、より安く」が、入札制度の根底にあります。

しかし、私が現場監督なら、予定価格の70パーセント台の受注で、高い品質を確保する自信はありません。また、品質の確保と安全の確保という意味でも、低入札調査基準価格の見直し、判断基準額の引き上げが必要だと思います。

アンケートでは、公共事業のウェートの高い業者では、6割を超えた業者が低価格入札の審査を受けたことがあり、その約4割が予定価格の70パーセント以下で応札しています。

審査後、その8割以上の業者が受注した経験を持っており、さらにその3割が予定価格の70パーセント以下で受注しています。

県の入札担当者から「こんな金額でできますか」と聞かれれば、「十分できますと笑顔で応えざるをえません」。「わかって頂けますか」とある経営者から言われました。

工事原価を下げる対策として、最も多いのが、資材金額の交渉で36.1パーセント、工期の短縮が29.2パーセント、そして下請け工事価格の削減が23.6パーセントでした。

利益の有無では、7割の業者が赤字を出しています。

「下請けとは適切な価格で受注させるように」との指導もされていますが、低価格入札がもろに所得格差を生む元凶となっており、ほとんどの建設会社で、この10年近く、賃上げもなければ、賞与も出ていないのが実情です。

現状で行けば、経営体力のある企業、特殊技術を持つ企業、そして零細な家族企業だけが何とか生き延び、中堅建設会社のほとんどが倒産し、最終的には大手ゼネコンだけが、生き残るということになりそうです。

低価格入札の調査基準価格については、7割の業者が引き上げるべきと回答し、公共事業のウェートの高い業者では、8割を超える業者が引き上げるべきと回答しています。

判断基準額については、7割弱の業者が、引き上げるべきと回答し、適切と回答した業者は1割にも満たない結果となっています。

低価格入札の調査基準価格と判断基準額の引き上げを多くの企業が切望しています。

私は調査基準価格を現行75%程度から85%程度へ、また判断基準額を80パーセント程度に引き上げるべきだと考えます。事業内容により、その幅を持たせれば、企業は自己判断を余儀なくされ、公正な入札も図れます。

他県ではダンピング防止対策として、判断基準額の引き上げなど緊急対策が検討実施されているところもあるようです。低入札調査基準価格と判断基準額の引き上げについて、ご所見をお伺いいたします。

なお、最低制限価格を公表しての入札制度は、低価格入札の恒常化を促進する意味でも実施すべきでないと考えています。

最後に、総合評価入札制度について質問します。
総合評価入札制度は、従来の価格のみによる自動落札方式とは異なり、「価格」と「価格以外の要素」、例えば、施工時の安全性や環境への影響を総合的に評価する入札方式であり、具体的には入札者が示す価格と技術提案の内容を総合的に評価し、落札者を決定するものです。

入札に参加する企業からの積極的な技術提案による技術面での競争を促進するとともに、価格のみならず総合的な価値による競争を促進することで、発注者にとって最良な調達を実現させ、公共工事の品質の確保を図る上で有効であると期待されています。

しかし、その運用について、業者は入札のたびに、総合評価書と入札明細書の提示を義務付けられ、技術職員の少ない企業にとっては大きな負担となっており、改善も必要です。

宇部市では、1億円以上の土木工事で総合評価制度が導入され、技術力と地域貢献度が評価されることになり、その効果が注目されています。

アンケートでは、技術点を10点から30点に引き上げてほしいなど、制度の充実を求める意見も多く出されています。

私は、5パーセントくらいの金額は総合評価で逆転するくらいの制度が必要だと思います。

総合評価入札制度の導入におけるこれまでの評価と今後の対応についてお伺いします。

以上で、私の質問を終わります。

答弁後の再質問

ご答弁ありがとうございます。

それでは、要望をさせて頂きます。

私は昭和52年、ヨットによる単独太平洋横断に挑戦した後、6年間、建設会社に勤めていました。スコップを持ち、ダンプの運転もしました。私自身を育てて頂いたのが、建設業です。その恩ある建設業界が今、大変な状況になっており、友人の言った「来年は建設関係で凄い数の倒産が出ますよ」という言葉が現実味を帯びています。

アンケートの回答には

「借金の整理ができれば、1日でも早く企業を閉鎖したい」「将来がない」「廃業は倒産に等しく、業界全体が自転車操業」など悲観的な書き込みが多くありました。

国土交通省の作成した産業別売上高経常利益率を見ると、全産業では1993年の1.3パーセントを底に低迷が続いていましたが、2005年時点では3.5パーセントまで回復しています。

しかし建設業は1991年の3.4パーセントをピークに、2005年度には1.7パーセントと、ピーク時の半分までに落ち込んでいます。

また、建設業の資本金別にみると、資本金1億万円以上10億円未満で2.2パーセント、資本金1000万円以上1億円未満で1.3パーセント、資本1000万円未満ではマイナス0.4パーセントとなっており、零細建設業、言い換えれば下請けほど、収益性が低く、赤字受注を行ってようやく経営を続けており、低価格入札の恒常化が大きな影響を与えているものと考えられます。

先日、私の事務所にこれからの建設業界を担っていく若い経営者の皆さんにお集まり頂き、業界の実情と入札制度に対するご意見を伺いました。

全員非常に厳しい経営状況下にあり、その皆さんから

「予定価格の公表さえ、廃止してもらえれば、真剣に勝負しようとする人だけが、入札に参加する。これが一番公明正大な入札制度である。」

「低価格調査基準額と判断基準額を引上げることが、下請けとの適正な受注関係と、高い品質と安全を確保する方法である」

「総合評価制度の拡充を希望する」などの要望が出されました。

さて、先ほどの部長答弁では「これから本格的な調査を実施し検討する」とのことですが、現実的には悠長なことを言っているような状況ではありません。

アンケートでは、特に「判断基準額の引き上げ」「総合評価入札制度の拡充」などの要望が多く出されています。

「調査して検討する」ということですが、「部長! 調査して検討する」いうことは、「引上げる方向で検討する」と解釈してよろしいですね」

一日も早い実現を目指して努力して頂きたいと強く要望したします。

また、知事におかれましては、他県の対応に捉われない山口県独自の思い切った対応を、ぜひお願いしたします。

最後にアンケートの書き込み欄に書かれた文章を紹介して、私に質問のすべてを終わります。

「私は天職として建設という仕事を全うしてきました。今後の競争を逃げないと自覚して、当然厳しいはずの未来を想像しますが、さらにその先に明るい将来があると考えています。」

ご静聴ありがとうございました。

答弁

(平成19年12月13日(木)午前10時~) 質問者  岡村精二

1 土木建築行政について
(1)建設業界の現状について

(知事)
私からは、本県建設業界の現状についてお答えをいたします。

建設業は、県民生活に密着した社会資本整備の担い手でありますと同時に、本県の就業者人口の1割を占めるなど、地域の経済や雇用の面におきまして重要な役割を果たしている基幹的な産業です。

さらに、災害時には、応急対策、復旧対策において中核的な存在として活動をしていただいておりまして、県民の皆様の安心と安全の確保にも大きな役割を果たしております。

一方、公共事業をめぐりましては、国・地方を通ずる厳しい財政状況の中、近年、国の歳出改革を通じまして、過去の景気対策等で増大をしておりました 公共事業予算の急激な削減が続いております。本県におきましても、国庫補助金の減少や地方財政計画の縮小に伴いまして、公共事業等についても減少傾向が続 いているところであります。

こうしたことから、本県の建設業を取り巻く経営環境は、確実に厳しさを増しておるところであります。

このため、県といたしましては、工事の発注に際しましては、県内建設業者への優先発注を基本に、可能な限り分離・分割発注を行いますとともに、大規 模工事等につきましては共同企業体を活用するなど、県内建設業者の受注機会の確保に努めてきておりますし、県内の公共工事の発注機関に対しましても、同様 の取組みを要請してまいりました。

また、経営基盤の強化を図るため、経営革新の制度融資や経営相談を強化しておりますとともに、自ら経営の多角化や業種転換に取り組んでおられる建設業者への支援も行っております。

少し具体的に申し上げますと、要請に応じまして、中小企業診断士等の専門家の派遣を行いますとともに、経営の多角化につきましては、県中小企業支援 センター等において、ニーズに応じた効果的な支援をワンストップで提供できる体制を整備いたしております。また、業種転換につきましては、新たな事業分野 への進出に資する総合的な情報を掲載したハンドブックの作成や建設業協会等との共催によるセミナーの開催などを通じて、農業、福祉、環境分野等への進出事 例の紹介や各種支援制度、相談窓口の周知にも努めております。

私は、明年度におきましても、国の予算や地方財政計画の状況を踏まえつつ、できる限りの公共事業予算の確保に努めますとともに、県づくりの一翼を担う建設業の支援につきましても総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

なお、入札制度の改善等につきましては、後ほど関係参与員から答弁をいたしますが、私は、貴重な税負担等で執行される公共事業につきましては、どこ までも事業の適正な執行に努めますとともに、県民や社会全体の理解が得られるよう、情報公開を徹底をし、公正で円滑かつ効率的な事業執行が行える、入札制 度の改善を含む体制づくりに努めてまいりたいと考えております。

具体的には、関係参与員よりお答えいたします。

(2)公共事業の県内企業への優先発注について
(土木建築部長)
土木建築行政についての6点のお尋ねです。

まずは公共工事の県内業者への優先発注についてです。

県としては、工事発注に際しては、従来から地域経済の活性化や県内建設業の健全な発展を図るため、必要な施工能力を有する県内業者数で競争性が確保できる場合には、入札参加資格条件に県内業者であることを設定しています。

また、技術的難易度が高い工事については、共同企業体方式を活用し、県外業者から県内業者への技術移転を図ってきました。その結果、県内業者の施工 能力が向上し、現在では、ほとんどの橋梁下部工や延長600mまでのトンネル工についても、入札参加資格条件に県内業者であることを設定しています。

さらに、下請工事における県内業者の活用についても、工事発注時には設計図書に明示するとともに、契約締結時には元請業者に文書で要請を行い、3,000万円以上の工事については、工事完成後に下請に関する状況報告書の提出を求めているところです。

今後とも、県内業者の受注機会の確保に努めてまいります。

(3)適正価格について
(土木建築部長)
次に、適正価格についてです。

予定価格は、競争入札を行う際にその落札金額を決定するための基準となるもので、県においては、標準的な施工能力を有する建設業者が、標準的な工法で施工される場合に必要となる経費を、積算基準をもとに適正に算定しているところです。

お尋ねの適正価格とは、この予定価格の範囲内で建設業者がそれぞれの企業努力の下に落札した価格であり、かつ、良好な品質や安全管理、及び正当な下請契約等により工事施工が可能な価格であると考えております。

(4)予定価格の事前公表について
(土木建築部長)
次に、予定価格の事前公表についてです。

県においては、入札及び契約手続きの透明性・公平性及び競争性を確保する観点から、平成12年の「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法 律」、いわゆる適正化法の公布を契機として、平成13年1月から予定価格の事前公表について一部試行を開始し、平成14年4月からは、入札に付する全ての 工事を対象に実施しているところです。

お示しのとおり、最近、低価格入札が急増しておりますが、予定価格の事前公表と低価格入札の増加との直接的な関連性については明らかではないことから、県としては、まず、低価格入札の実態に関して、早急に様々な角度から調査し、検討を行ってまいります。

(5)入札業者の選定について
(土木建築部長)
次に、入札業者の選定についてです。

県においては、「公共調達改革の推進」を県政集中改革の主要課題に位置づけ、全庁を挙げて入札制度の改革に取り組んでいるところであり、本年7月か ら、一般競争入札の対象金額を1億円以上から3千万円以上に、舗装などの専門工事は1千万円以上に拡大するとともに、入札参加業者数の拡大も図ることとし たところです。

一方、お示しのとおり、入札に当たっては、公共工事の施工実績や配置技術者の工事経験など工事の品質の確保、地域の中小建設業者が雇用確保や災害対応等に果たす役割、官公需法による受注機会の確保の要請などの観点を踏まえることが重要です。

従って、一般競争入札では、これらの観点から、技術要件・地域要件を入札参加資格要件として設定しているところです。

(6)低入札調査基準価格と判断基準額の引き上げについて
(土木建築部長)
次に、低入札価格調査における調査基準価格の見直しと判断基準額の引き上げについてです。

まず、調査基準価格については、「中央公共工事契約制度運用連絡協議会」、いわゆる「中央公契連」モデルに沿って、平成17年1月に引き上げを行っ ており、現在でも多くの都道府県で採用されていることから、今後、「中央公契連」において内容の見直しが図られるようであれば、県としても適切に対応して まいります。

次に、判断基準額については、県としてもダンピングによる入札は、公共工事の品質低下、下請業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化及び安全対策の不備等 が懸念され、建設業の健全な発展に多大な影響を与えると認識しており、今後、実施する低価格入札に係る調査の結果も踏まえ、検討してまいります。

なお、比較的判断基準額の低い小規模工事については、先行して、引き上げについて検討してまいります。

再質問
岡村
:部長!「調査して、検討する」ということは、大規模工事も引き上げるということですね!
部長
:黙って、頷く。(「その通りです」の意)

(7)総合評価入札制度について
(土木建築部長)
次に、総合評価入札制度についてです。

お示しのとおり、総合評価入札制度は、価格のみならず価格以外の要素を総合的に評価し、落札者を決定する方法であることから、優良な社会資本を整備することができ、また不良・不適格業者の排除や建設業者の技術力向上などの効果があります。

このため、県においては、平成18年度から総合評価入札制度を導入したところです。平成20年度からは、評価点の引き上げや評価項目の見直しなど、技術評価の内容について充実させ、原則として一般競争に付す全ての工事について総合評価入札制度を適用します。

一方、工事内容や規模に応じて、簡易な施工計画を評価する簡易型の総合評価も行っておりますが、お示しの入札参加者の事務手続きの負担の軽減のため、さらに、より簡易な総合評価入札制度の導入についても検討してまいります。

>>一般質問のトップページに戻る